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2013年10月7日

◆ガールズバー店長転落死の殺人被疑事件に不起訴処分(弁護士三上孝孜)


○ 平成25年8月、大阪市梅田のガールズバーで、料金不足をめぐる客と店長のトラブルから、店長が2階から1階に階段を転落して死亡する事件がありました。この件で客(35歳、会社員)が殺人未遂(その後殺人に切換え)で、曽根崎署に逮捕されました。私が国選弁護人として弁護活動をしました。弁護の成果があり、無実を明らかにできました。その結果、検察官の不起訴処分を得られ、会社員は釈放されました。
その事件について紹介します。
     
○ ガールズバーで、会社員は、料金4,900円を請求されましたが、所持金は3,300円しかありませんでした。すると、店長は、いきなり、会社員のカバンから、携帯電話と運転免許証入りの財布を取り上げました。会社員は、それを取り返そうとしました。店内で二人がもみ合いとなりました。会社員は、店長から投げ倒されたので、こわくなり、2階入り口ドアを開けて、逃げようとしました。店長は、会社員を逃がすまいとして、背中をつかみました。二人はもみ合って、一緒に、2階から1階へ階段を転落しました。店長は、1階のコンクリート壁に頭を打ち付け、頭蓋骨骨折等の重傷を負いました。会社員は、背中に擦過傷を負っただけでした。会社員は、店長が倒れているのを見て、通行人に救急車の手配を頼みました。その後、駆け付けた警察官に逮捕されました。この事件で曽根崎署は、殺人未遂罪で会社員を逮捕しました。
  

○ 私は、事件直後、会社員の両親から相談を受けました、そこで、法テラスの国選弁護人として、他の弁護士1名と一緒に、弁護活動をしました。勾留半ばに店長が意識不明のまま死亡したので、事件は殺人罪に切り換えられました。

会社員から事情をよく聞くと、わずか数千円の料金不足で、店長を殺すような意図がないことが、はっきりしました。店長が死亡した結果は重大ですが、実際は二人が一緒に転落した事故だと思われました。

そこで、弁護活動としては、曽根崎署に勾留されている会社員に、ほとんど連日、接見(面会)し、警察や検察の取調べに嘘の自白をしないように激励しました。また、警察官や検察官に、殺人事件ではなく、転落事故であることを説得しました。

店長死亡後は、警察の取調べが厳しくなりました。警察官が脅迫的に自白を迫る場面もありましたが、その都度、警察に抗議して、自白の強要をやめさせました。
その結果、会社員は、最後まで否認を続けられました。
そして、最終的に、嫌疑不十分を理由に不起訴処分となりました。
殺人罪で逮捕、勾留されて、不起訴処分になることは、めったにありません。私は、弁護人として、大きな成果を勝ち取ることができ、大変うれしく思いました。

 
 ○ 会社員の声。「最初に曾根崎署で殺人未遂罪で逮捕すると言われた時、びっくりして頭が真っ白になった。弁護士さんのお陰で、無実が明らかになり、本当に感謝しています」

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