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2016年7月19日

Q:会社を退職する日に、同業他社への就職をしないという誓約書を差し入れるように要求され、サインをしてしまいました。これにサインをしなければ退職金を出さないと言われてやむを得ずにサインをしたのですが、やはり同業他社への就職はできないのでしょうか。


A:そのようにして作られた誓約書は違法無効で、同業他社に就職できる可能性が高いです。
  

(解説)
労働者には、憲法上、職業選択の自由が保障されているので、原則として、退職後、同業他社への就職をすることが可能ですし、事業を自ら起業することも可能です。
もっとも、誓約書にサインがしてある場合に、例外的にこの自由が制限される場合があります。
  
一般論でいえば、会社にとって「秘密」と呼べるような情報の流出を防ぐという正当な目的があり、労働者が退職前に当該秘密に接するような地位・業務に従事しており、禁止業務の範囲・期間・地域が限定されており、かつ、労働者の自由を制限することへの相応の対価を支払っているような場合に、誓約書が有効となるといえます。
  
相談内容にあるように、本来支払うべき退職金を持ち出して誓約書にサインさせるような場合、そもそも自由意思によらないサインがあるのみで、誓約書は無効となるでしょう。また、期間や期限などを限定していないことも、誓約書が無効となる方向に働く事由といえるでしょう。
  
ただし、会社から不正に持ち出した顧客情報を使用する行為は違法となる恐れがありますのでご注意を。
  
判断に迷われた場合には遠慮なく当事務所までご相談ください。
(弁護士 中峯将文)

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