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2015年5月20日

◆シカゴ死刑事情-死刑が廃止されているイリノイ州を訪問して( 弁護士 三上孝孜)


■ 2015(平成27)年3月、アメリカ、イリノイ州のシカゴに行きました。日本弁護士連合会の死刑問題調査団に参加したのです。

  

■アメリカでは、州の自治権が強く、死刑を廃止している州が約3分の1あります。

私が訪問したイリノイ州では、死刑の誤判が明らかになったことから、知事が、2000年に死刑の執行停止をし、任期終了直前に、164名の死刑囚全員を終身刑(仮釈放なし)に減刑し、大きな話題を呼びました。

その後、新しい知事の下で、死刑廃止法案が提案され、2011年に州議会で死刑廃止法が成立しました。最高刑は死刑ではなく、終身刑(仮釈放なし)となりました。

私たちは、シカゴで、アメリカ法曹協会(ABA)の死刑弁護プロジェクトの女性弁護士、死刑に反対している犯罪被害者遺族の会の女性、ノースウエスタン大学の誤判救済センターのメンバー、元検察官などに会って、死刑廃止運動や廃止後の犯罪情勢などについて、色々な話を聞きました。

日本でも読者の多い小説「推定無罪」を書いた弁護士作家のスコット・ツロー氏とも面会しました(同氏は元検察官で、弁護士になってから死刑事件で無罪を獲得したことから、死刑廃止論に変わったと言っておられました)。

また、終身刑の受刑者を収容している刑務所も見学しました。

  

■現地で分かったことは、死刑廃止後も犯罪率に変動はなく、凶悪事件は、むしろ減っていたということです。一方、終身刑者の処遇は、刑務所とはいえ、人道的とは思えませんでした。

犯罪大国のアメリカでも、死刑廃止州が増えつつあります。廃止州の方が、存置州に比べ、犯罪は少ないとの話も聞きました。

  

■日本では、犯罪被害者遺族の死刑を求める気持ちが重視されています。しかし、袴田再審事件などからも分かるように、死刑判決にも誤判があります。人命は、最も尊重されなければなりません。

私は、日本でも、死刑の代わりに、終身刑(仮釈放なし)を導入して、死刑を廃止することを考える必要があるのではないかと思います。

  

■ところで、シカゴの3月はとても寒く、雪が積もりました。レストランで食べたビフテキは、ビッグサイズで、日本の2人前くらいありました。味はイマイチで、日本のすき焼きやしゃぶしゃぶの方がよっぽど美味しいと思いました。

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