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2017年10月16日

◆痴漢えん罪事件で不起訴を獲得(弁護士三上孝孜)


■ 電車内の痴漢えん罪事件で、不起訴処分を獲得したケースがありますので紹介します。
午前のラッシュ時、満員の電車内で、男性が、携帯を持った右手をダウンジャケットのポケットに入れて、立っていました。友人からラインが入り、バイブが振動したので、携帯を持った右手をポケットから出しました。そのとき、前の女性から「この人チカンです!」と言われ、出した右手をつかまれました。右手は女性の体に当たったかも知れません。
そのとき、横にいた男性からも、左手をつかまれました。二人につかまれて、次の駅で駅長室に連行されました。警察に通報され、女性の尻を触ったとして、私人による現行犯逮捕とされ、警察に留置されてしまいました。
   

■ この事件で、携帯で逮捕を聞いた友人から、私たちの事務所に緊急の連絡があり、私が相談にのりました。
すぐに警察署の生活安全課に電話をし、私人による逮捕の説明を聞き、接見(面会のこと)に行きました。本人は否認していたので、励まして、絶対に認めないように説得しました。そして警察に強く釈放を要求しました。再三の要求・交渉の結果、その日の夕刻に、友人が身柄を引受けることにより釈放させることが出来ました。検察庁に身柄付きで送致されることもなく、裁判所への勾留請求もありませんでした。
   

■ その後、警察での任意調べが1回ありました。検察庁に書類送検されましたが、検察官からの呼出しはなく、嫌疑不十分で不起訴になりました。
痴漢を理由に現行犯逮捕されたのに、無実を明らかにし、逮捕日の夕刻に釈放になり、早期に不起訴処分になったのです。えん罪が晴らせて、私は本人と共に喜びました。
   

■ この事件でのポイントは次のようなものです。
1 当日ダイヤの乱れがあったので、駅に弁護士会を通じて照会し、電車の駅発着時刻を明らかにし、逮捕された時刻を正確に特定できた。
2 その時刻ころに、本人と友人のライン記録が残っていた。
3 携帯を持った手が女性に当たったとしても、そのような状態で女性の尻を触れないことを明らかにした。
4 逮捕された数時間後に接見が出来て、動揺している本人を励まし、自白を防げた。
5 何度も釈放要求し、速やかに釈放させることができた。
6 ポリグラフ(嘘発見器)検査をするとの警察要求を拒否させ、応じさせなかった。
   

■ この件は良い条件が揃いましたが、不幸にも痴漢を疑われて逮捕されたときは、すぐに当番弁護士などに依頼すると共に、警察官から自白を迫られても、絶対に認めないことが大切です。

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