先月、広島へ行く機会があり、そのときに、原爆ドームと平和記念資料館に行きました。
平和記念資料館に訪れるのは、小学5年生のとき以来です。
原爆ドーム周辺には、多くの外国人が観光に訪れていて、熱心に語り部の方の話を聴き、当時の写真などを見つめていました。
平和記念資料館の入場料は大人50円。
少しでも多くの方に見て、知ってもらいたいという意図が伝わりました。
また多くの外国人が、通訳のヘッドホンをつけながら真剣に展示を見ていました。涙を流している人もいました。
展示を見ながら、私は、数年前にテレビで見たNHKの番組『封印された原爆報告書』を思い出しました。
番組では、米国立公文書館に、日本が、原爆被害の実態を調べたという100冊以上の報告書が保管されていたことを伝えていました。
終戦2日後に広島入りをした、日本の優秀な科学者や医師たちが、多くの被爆者を解剖し、毎日、決められた時間に、放射線が人体に及ぼす影響を、血液や体の状態などで分析したもの。
学校にいた子どもたちが、どこで、どのように亡くなったのか詳しく調べたもの。
もちろん、調査をしていた医師の中には、入市被爆した医師もいました。
その報告書は、全てアメリカに渡り、最近になってようやく、遺族のもとへ、報告書の『標本』となってしまった皮膚の一部だけが戻ってきたんです。
被爆者についての膨大な資料は、ほかの被爆者の治療のために使われたのではなく、アメリカへ原爆の効果を報告するためだけに使われた、ということでした。
このことを知り、大変ショックを受けました。
患者さんを解剖することは、同じ病気や怪我で苦しむ他の患者さんの治療のためと思っていましたが、この番組を通して、改めて、戦争は、国益のために、国民が利用されるのだと実感しました。
広島の平和記念資料館の出口付近では、多くの外国人が『核廃絶』等の署名をしており、その姿を見て、私は、安倍さんが今目指している、世界の中の日本の位置づけや諸外国との関係と、私たち国民や資料館に来られる外国人が目指している『世界』にギャップを感じました。
今夏、戦後70年を迎えます。
今、国会でもさまざまな審議が続いています。
私はどのような気持ちでこの70年を迎えられるのかを考えると、大変、気が重いです。
(事務局A)