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2018年12月12日

◆職場におけるパワーハラスメント(弁護士小林徹也)


■最近,職場におけるパワーハラスメントがよく問題になっています。
暴力を用いたり,直接に人格を否定するような言葉を用いたりした場合に,これをパワハラと認めることは比較的容易ですが,例えば,しつこく小さなミスを指摘する,長時間にわたって説教をする,注意する声が大きい,など文章にするとパワハラと認めることができるか,が微妙なものもあります。
というか,私が相談を受けた事案はそのようなもののほうが多いように思います。
   
  
■このような,陰湿なパワハラは,言われている本人すら,なかなかパワハラだと感じることができず,「自分が悪い」と思いがちです。また,パワハラだと思っても,実際に上司を訴えたりすることに二の足を踏む方のほうが多いと思います。
   
  
■参考になるかは分かりませんが,私は以前,次のような相談を受け対応をしました。
この依頼者の方も,やはり職場で陰湿な嫌がらせを受けていたのですが,ただ,過度の残業をさせる,小さなミスをいつまでも指摘する,といった,訴訟となるとなかなかパワハラであるとの立証が難しいような事案でした。
ただ,依頼者の方は,うつ病を発症されていたことから,なんらかの対応はせざるを得ませんでした。
そこで,私が代理人となって,その会社の社長,及び職場の上司に対し,厚労省のガイドラインなどを用い,うつ病であり過度の残業をさせないこと,また,本人からのいじめの主張についてはきちんと調査をすること,等を要望する文書を出しました。
その結果,私が職場の上長と話し合い,依頼者の職場環境について,一定の配慮をすることを文書で合意することができました。
   
    
■もちろん,多くのパワーハラスメントの事案で,このような方法をとれるとは限りません。この依頼者の方も,とりあえずはある程度環境が改善されその後何年も勤務されていますが,全く問題が生じていないわけではありません。
ただ,一つの選択肢として,訴訟以外にもこのような方法がありうるということは頭の片隅に置いていただければと思います。

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