2020年7月5日

新型コロナウイルス感染防止によるテレワークの増加と近隣騒音


■ 隣家の家の犬が早朝に吠えてうるさい,隣家のボイラーの音がうるさい,階下のピアノの音うるさいなど,近隣からの騒音のトラブルのご相談は以前から比較的ありました。
 
■ ただ,2020年春に起こった新型コロナウイルス感染拡大に伴い,この5月から6月にかけて,明らかに近隣騒音のご相談が増加しました。
 お聞きすると,今までも気にはなっていたが,自宅にいる時間が少なかったり,夜も熟睡しているので気付かなかった近隣の音が,テレワークなどで自宅にいることが増え,どうにも我慢できなくなった,という事情もあるようです。
 他方で,発生させている側も,これまで(おそらく)会社や作業場で行っていた仕事を自宅で深夜まで行ってることから,これらによる騒音もあるようです。
 
■ 出しているほうからすれば何気ない生活音でも,新型コロナウイルスで社会不安が続く中,ずっと家の中で聞いている側からすれば,耐えがたいものになることもあるようです。
 
■ このような近隣騒音に関する法的対応については,すでに,このホームページの別の項(「近隣騒音」)で書かせていただきましたが,お互いに引っ越すなどの対応がなかなかできないだけに,最終的な解決は容易ではありません。
 
■ ただ,放置しているとそのまま続いて,場合によってはより一層の関係の悪化を招くこともあり得ます。弁護士が介入することで改善に至ることも少なくありません。遠慮なくご相談ください。

2020年4月15日

新型コロナウイルスに伴う法律相談について-電話・メールの活用で


■ ご存知のように新型コロナウイルスによる未曾有の危機が訪れています。
 私たちの業界も,2020年4月現在,裁判所は事実上閉鎖され,様々な会議なども中止されています。
 しかし,このような中でも,あるいはこのような状況だからこそ,様々なご相談があります。
 
■ 他方で,弁護士に依頼する以上,事務所まで行って直接面談する必要があるが,感染も怖くてためらわれるという方も多いのではないでしょうか。
 もちろん私たち弁護士や事務職員も,所内から感染者が出れば,たちまち閉所してしまわなければいけませんから,そうならないよう細心の注意はしています。
 ただ,面談する以上,どうしても感染の危険があることは否定できません。 
 

■ そこで,もちろんこのような緊急事態における例外的な取り扱いですが,とりあえず電話やメールで相談内容をお聞きし,急ぐ場合には,面談前に郵便などで書類のやりとりをして,依頼をお受けすることもありえます。 
 

■ 実際,新型コロナウイルスによる失業のため,それまでの支払いができなくなったことから,破産の申立をしたいということで,すでにご依頼を受けて現在準備中の方もおられます。 この方とは,電話やメールを多用し,かなりのところまで準備が出来ています。
 もちろん,一段落ついた時点で,一度は面談していただき,再度確認する予定ですが,とりあえず受任通知を発送することにより,債権者からの請求を止めることで,たとえ僅かでも今後の生活を考えるゆとりが出来るのではないでしょうか。 
 

■ このような事態ですので,事案に即して,できる限り柔軟な相談方法に応じたいと考えています。お気軽にお電話ください。

2020年3月27日

古い家屋への明渡請求が増えています


■古くから住んでいる家について,急に家主や地主から明け渡しを請求された,という相談を受けることが増えてきています。
 よくあるのが,地元の大地主が,一帯を整理して開発しようとする場合です。
 地主側は大抵の場合,十分な資力があり,従って,建築士などの専門家に相当の金額を払って詳細な意見書を作成させ,当該建物が十分な耐震構造を有していないことを指摘してくることが多いようです。
   
■最近は,地震による被害も多く,耐震構造が不十分な建物が倒れ近隣に被害を与えた場合,所有者が責任を負うことにもなりますから,裁判所としても耐震構造については敏感になっています。
 従って,残念ながら,例えば築50年も経過しているような建物で,現在の耐震基準に合致していないようなものについて,このような訴訟を起こされると,現在の耐震構造からはそのまま維持することが難しいと判断され,最終的には明け渡しが認められることが多いように思います。
   
■そして,このような場合,基本的には立退料の金額交渉になることが多いのです。この点,最終的には裁判所が決めることになるのですが,理屈はともかく,明け渡しを請求する側の事情や,請求される側の事情などの個別事情を考慮し,また裁判官の資質なども相まって,難しい対応を迫られることがよくあります。判例上,依頼者の方が考えているほど,多額の立退料が認められることは少ないのです。
   
■最終的に依頼していただくかはともかく,そのような請求をされた場合には最初の対応が重要です。最初に,立ち退くことを了解してしまったりすると,後の交渉が面倒になってきます。まずは,ご相談ください。

2020年3月8日

「刑事告訴をするぞ」「被害届を出すぞ」と言われたけど大丈夫?


■ 様々な場面で,相手方から「話しがつかないなら刑事告訴をするぞ」とか「警察に被害届を出す」などと言われ,警察に逮捕されるのではないか,などととても心配されて相談に来られる方がよくおられます。
 
■ 経験した中でいくつか典型的なものを挙げますと,以下のようなものがあります。
① 離婚をしようと夫に告げずに,当面の生活費として夫名義の通帳とカードを持って出たところ,夫から「窃盗だから警察に被害届を出す」と言われた。
② 小型犬が相手方にかみついて少し血が出た程度であったが,相手方から高額な賠償を求められたことから躊躇していたところ,「警察に届け出てもいいんだぞ」と言われた。
 
■ 結論から申し上げますと,上記のような例で警察が動くことはまずありません。
 警察が捜査に動く場合は,将来的に事件として立件できるか,を視野に置いています。つまり,刑事事件として起訴できるかどうか,を基準に動くのです。
 しかも,刑事事件として立件すると身柄拘束までできることもありますから,当事者に与える影響はとても大きく,警察としてもそれなりな覚悟がいります。
 他方で,警察も極めて多忙ですから,形式的に条文に該当しそうなものでも,当事者間の話し合いで解決してしまいそうな軽微な事件について,いざ捜査を始めたところ,当事者から「話し合いで解決しました」と言われてしまうと,立つ瀬がありません。
 上記のような場合は,基本的に話し合いで解決する場合が多く,警察もそれを見越しますから,警察が介入する可能性は低いと思われます。
 
■ ただ,上記のような事情は,理屈というよりかは,長年弁護士として様々な事件を経験してこそ分かるものです。これまで警察のお世話になるようなこともなく,平和に暮らしてきた市民の方が,相手からこのように言われた場合,不安になるのはとても自然なことだと思います。
 トラブルに遭い,関係者からそのようなことを言われ,不安に思われたりした場合には,当事務所まで遠慮なくご相談ください。

2019年11月13日

◆セクシャルハラスメントにおける男性の「言い分」と変化しつつある裁判所(弁護士小林徹也)


■よくセクシャルハラスメントの相談を受けます。
これまでに,上司による職場でのセクハラ発言から,上司からの執拗なデートや交際の誘い,さらには犯罪まがいのものまで,様々な事例を扱いました。
どちらかというと示談で終了することが多いのですが,訴訟に発展する場合もあります。
今回は,そのような事案において,よくある男性側の「言い分」についてお話ししたいと思います。
   
   
■男性の「言い分」-嫌がっているように見えなかった
セクシャルハラスメントにおいてよくある男性の「言い分」として,例えば,性的な言動について,「笑って聞き流していたので嫌がっているように見えなかった。嫌だと言ってくれれば止めた」というものがあります。
しかし,まさにここにセクシャルハラスメントの本質があります。
使用者と労働者,あるいは上司と部下の関係にある場合,使用者や上司からの性的な発言に対し,仮に不快に思っていても,それを明確に意思表示できることは少ないのです。男性側はこの点が実感としてなかなか理解し難いのです。
だからこそ,セクシャルハラスメントという類型を特別に検討する必要があるのだと思います。
社会的にも,このようなセクシャルハラスメントの本質が(不十分ながらも),認識されつつあり,「相手がいやだと思わなかった」,「認識の違いだ」などという「言い訳」は通らなくなってきています。
特に,一定のコンプライアンスが確立している企業では,そのような認識を持ち得ないこと自体企業人として不適格の烙印を押されかねません。
かくいう私も,事件を通じて理解しようと努めていますが,本当に実感できているのか自問自答する毎日です。
   
   
■変化しつつある裁判所の対応
同様に,セクシャルハラスメントに関する裁判所の対応も変わってきたように思います。
10年も前は,女性裁判官がセクハラを受けたと主張する被害者の女性に対し「嫌ならなぜ嫌と言わなかったのですか」などと平気で質問してくるようなこともありました。
しかし,最近では,基本的に,「労働者,特に女性は上司に対し,嫌悪感をはっきりとは表現できないものだ」という認識が,(徐々にですが)理解されてきているような気がします。
すべての裁判官が,とは言いませんが,訴訟となると比較的丁寧に当事者,特に被害者の話を聞いて,示談に向けて加害者を説得することが多いように思います。
   
   
■いずれにしても,セクシャルハラスメントを受けた(あるいは行ったとされて賠償請求を受けている)などのご相談がありましたら遠慮なく御連絡ください。
(特に男性の方には)必ずしも,都合のよい方針は示せないかもしれませんが,法的に適切な方向性は示させていただきます。

2019年10月30日

◆ご相談の際の注意点-「原本」には何も記載しないで!(弁護士小林徹也)


■私のみならず,一般に弁護士に相談する場合のちょっとした注意点についてお話ししたいと思います。
   

■他人とのトラブルが生じた場合に,その根拠(分かりやすく言えば証拠となるものです)となる文書があることも多いでしょう。
典型的なものは,お金の貸し借り(金銭消費貸借契約)における契約書や売買の契約書などです。
あるいは,医療に関するトラブルでのカルテや診断書などもこれに当たるでしょう。
また,夫婦のトラブルについて,妻がつけていた日記やメモなども大事な根拠となり得ます。
   

■これらは通常,事案の理解や解決に役立つことが多いので,是非お持ちいただきたいのですが,注意していただきたいのは,これらの文書そのもの(「原本」と呼びます)に,説明のために手書きで書き込むことは避けていただきたいのです。
というのは,「原本」は通常,まさにその時に作成されたそのままのものであることで意義があり,証拠となりうるのです。 
相談に来られる方が,「そのままでは分かりにくいだろう」という「親切心」でいろいろ説明を書き入れたりすることがあるのですが,これはかえってマイナスになることがあります。
例えば,妻がつけていた夫の言動に関するメモは,まさにその時の気持ちのままに記載されているからこそ,例えば慰謝料に関する証拠として貴重なのです。
分かりにくいからといっていろいろ説明を加えると,分かりやすさは増すかもしれませんが,証拠としての「生々しさ」が失われかねません。
せっかくの,証拠の価値が下がってしまうこともあるのです。
また,いざこれを証拠として裁判などに提出する際,裁判官としては,どの記載が当時書かれたもので,どの記載が説明のために書き入れたものが分かりにくく,従って,弁護士が,「この部分は当時のもの,この部分は今回説明のために書き入れたもの」というようなことを,わざわざ文書で説明しなければならず,かえって分かりにくい証拠となりかねません。
   

■もし,説明が必要であると思われた場合は,原本には手を加えず,コピーを取り(最近はコンビニでもできますね),そのコピーに書き込んでください。
弁護士からのお願いです。

2019年9月11日

◆離婚調停は弁護士をつけなくてもできますか(弁護士小林徹也)


■離婚について当事者間で話しがつかない場合には,急に白黒を裁判所に決めてもらう手続である訴訟を起こすことは出来ず,原則として,家庭裁判所に「調停」(裁判所を間に立てた話し合いの場)を申し立てる必要があります(調停前置主義)。
では,この調停とはどのような形で進められるのでしょうか。
   
  
■調停を申し立てると,裁判所の混み具合や,申立の時期にもよりますが,だいたい1ヶ月程度くらいで「期日」が決められ,原則として両者ともに,その日に来るように通知が来ます(もちろん,DVなどの事情があり,相手と別の日にしてほしいなどの事情がある場合には,その旨希望すれば配慮してもらえます)。
   
  
■期日に出頭すると,まずは申し立てたほうから個室で調停委員が話しを聞きます(原則として調停委員と申立人だけです。また,当事者が顔を合わせることはなく,相手は別の部屋で待たされます)。
調停委員は,通常,初老の男女がペアとなっています。また,弁護士などの法律家ではない場合が多いです。
   
  
■調停の手続には必ずしも弁護士をつけなくても構いません(訴訟もそうですが,訴訟の場合は書面の書き方などにかなり規則や専門性があるので弁護士をつけるべきです)。
実際,弁護士をつけないまま調停をしておられる方はたくさんいます。
ただ,私が見聞きする範囲では,弁護士がついていないと,以下のような問題点があるように思います。
   
  
■もちろん調停委員にもよりますが,概して,調停委員は,説得しやすい方に譲歩を迫る場合が多いように思います。
そして,弁護士がついていなければ,「調停委員が言う以上やむを得ないのかも」と考えて受け入れてしまいがちです。
十分な知識がないまま,不利な内容で調停が成立している場合をよく見ます。
   
  
■また,最終的な解決をしないまま中途半端な形で終わらせしまい,後に紛争が再燃する場合があります。
よくあるのは以下のようなケースです。
離婚をしたうえで,妻が子を引き取り,夫が一定の養育費を支払う内容で調停が成立しました。夫としては,収入の範囲でなんとか支払える金額を決めたつもりでした。
ところが,調停が成立してすぐに妻が「慰謝料を支払え」と訴訟を起こしてきました。夫は,調停ですべてが終わったつもりでいたのに寝耳に水です。
このような場合,もし夫側に弁護士がついていたら,調停が成立する際に,「ここに定めた以外には今後互いに何も請求しない」(清算条項)という条項を入れることを求めます。
妻がもし慰謝料を請求するつもりなら,そのような条項を入れることは認めませんから,慰謝料についても話し合いが続くことになります。夫としては,慰謝料の支払いも念頭において,養育費の話し合いもできることになります。
ところが,上の例では,調停委員は,妻に「慰謝料については後で訴訟を起こせばよい」と助言しながら,夫にそのことを伝えていなかったのです。
したがって,あえて清算条項を入れていませんでした。もちろん,法的には問題があるわけではありません。しかし,「これですべて片が付いた」と夫が考えるのも無理からぬように思います。
このような例を,私は何件か経験しています(後に,上記のような例の妻,あるいは夫から相談を受けたものです)。
   
  
■従って,よほど問題がない場合以外は,調停においても弁護士をつけたほうが無難であると思います。せめて,成立前にその内容で成立させてよいか,弁護士に相談すべきです。
費用については,法テラスなどを利用できますので,遠慮なくご相談ください。

2019年9月4日

◆医療関係の御相談には出来ればカルテ等をお持ちください(弁護士小林徹也)


■治療や手術などにおいて医師がミスをしたのではないか,などというご相談をよく受けます。
別項『カルテの証拠保全について』でも説明しましたが,仮に訴訟となった場合には,裁判所は必ずカルテの提出を求めます。
従って,単にご相談を受ける場合でも,出来れば事前にカルテを取得していただくほうがご相談に乗りやすいのです。
   

■例えば,口頭で,「歯医者に行ったところ,不要な検査をされ,そのために怪我をした」という相談をされた場合,具体的に何の治療のために,どのような内容の検査をされたのか,が事前に把握できませんと,弁護士としても請求が難しいのです。
「不要な検査をされたために怪我をしたので賠償を求めます」などといった抽象的な請求を相手方にしたところで,医師は,当然「~ということで来院されたので,~という必要な検査を行った。その際,怪我などはさせていない」という回答をしてくる可能性が高いのです。
従って,このような請求をする場合には,どのような内容の検査であったのかを事前に確認し,これがどのような場合に必要とされるものかを調査したうえで,請求を行う必要があります。
   

■従って,医療に関するご相談をご希望の場合には,出来るだけカルテをお取り寄せいただいたうえでお越しいただくか,少なくとも,診断書等をお持ちくださるようお願い致します。
カルテの取得方法については,前述の別項をご覧ください。
   

2019年8月27日

◆夫の「モラハラ」と離婚(弁護士小林徹也)


■最近,「モラハラ」という言葉を耳にすることが多くなりました。
これは,「モラル・ハラスメント」の略であり,「言葉や態度で巧妙に人の心を傷つける精神的な暴力」と定義されています。
この言葉や記事を見て,私が思い浮かべるのは,私が過去に扱ったいくつかの離婚事件における夫です。
私が扱った離婚事件によく見られる夫は,このような「モラハラ」の常習者であることが多かったのです。
   
  
■このような夫の特徴として,まず,自分が絶対正しいと思いこんでいることが挙げられます。
妻が少しでも反論しようものなら,1時間も2時間も延々と,妻が疲れて「その通りです」と認めるまで自分の意見を主張し続けます(ほとんど徹夜で話しを聞かされた,という依頼者もおられました)。
このようなことが何度も,何年も続くものですから,妻はそのうち,「マインドコントロール」されてしまい,夫の言っていることは常に正しく,自分が叱られるのが当然だと思いこむようになってしまいます。
家庭では,夫が主導権を握り,妻は夫の機嫌ばかりを伺うようになっていきます。
夫は,妻の行動にいちいち文句をつけたり,舌打ちをしたりします。また,機嫌の悪い時は無視を決め込みます。
これに対して,妻は,「自分が悪い」と思いこまされて,限界に至るまでそのような生活を続けるのです。妻は,とにかく一日問題なく過ごせればそれでいい,という心情になってしまいます。
依頼者の中には,夜寝る時,「明日は無事に過ごせるだろうか」,「このまま目が覚めなければいいのに」などと毎晩思っていたという方もおられました。
   
  
■そして,限界を超えてどうにも堪えられなくなり,離婚を考えて弁護士のところに相談に来て,「そのような夫の態度は異常ですよ」と言われてはじめて夫の態度に疑問を持ち始めます。
もちろん,長年の「マインドコントロール」は簡単には解けません。
別居して,調停を起こして打ち合わせを重ねる中で徐々に,ようやく「夫はおかしかった」ということを実感していかれます。
   
  
■他方で,夫は,それまで従順だった妻が,はっきりと主張や反論するようになることから「弁護士が言わせているに違いない」と思いこむことがよくあります。
そこでよくある夫からの要望は,「直接妻と話させてほしい。直接に話せば理解してもらえる」ということです。
そのような場合,私は,依頼者とよく相談したうえで,了解を得られれば,調停で直接面談させるようにしています。
そこで,夫は,「マインドコントロール」が解けて自立した妻に愕然とするのです。
   
  
■このような男性は,概して世間体はよく,会社などでは好印象を持たれているようです。
従って,いざ調停や裁判になるとあまり無理は言いません。
よく依頼者である妻が,「刃向かったら何をされるか分かりません」と怯えておられることがあるのですが,少なくとも私が扱った事件では,事前にどんなに電話などで威勢のいいことを言っていても,調停や裁判で無茶なことをした男性はいません。
   
  
■もし夫婦関係で悩まれており,離婚を考えているものの,「本当に自分は間違っているのだろうか」あるいは「夫には刃向かえない」と思いこんでおられる方がおられましたら,一度ご相談ください。多くの場合,あなたが正しいのです。

2019年8月21日

◆面会交流で「苦しむ」子どもたち(弁護士小林徹也)


■面会交流で紛争になる事例が増えているように思います。
面会交流をどのように捉えるべきか,親の権利なのか,子ども自身の権利なのか,いろいろな意見があります。
そして,近年は,これを子どもに重点を置く権利と捉える傾向にあります。
ただ,大量の事例を処理する必要性からやむを得ないとは思いますが,裁判所は,良くも悪くも,面会交流を杓子定規に捉えているように感じます。
例えば,面会交流が問題となると,両親それぞれに,裁判所で面会交流に関するビデオを見るように強く勧めますし,基本的に「面会交流はしなくてよい」などという結論は(暴力などの危険がない限り)決して出しません。
   

■ただ,子どもの「真意」や,真の意味での「利益」を把握するのはとても難しいことだと思います。 
こんなことを言うと,大きな反論が来るかもしれませんが,たとえ専門家と言えども,子どもの「真意」などというものは明確には分からないと思います。 
さらに,子どもの「真意」と,客観的な子どもの「利益」が必ず一致するわけではないことも,問題を難しくします。
正直,法がどこまで介入すべきなのか,介入してよいのか,悩むことも多いのです(それは裁判所も同じだと思います)。
   
  
■こんな風に説明すると,私の言いたいことが分かってもらえるでしょうか。
おもちゃ屋の前で,「あのおもちゃが欲しい」と言って泣き叫ぶ子ども。
この子の「真意」はおそらく「あのおもちゃが欲しい」ということに尽きるのでしょう。 
では,その「真意」のままにおもちゃを与え続けることが,客観的・長期的にみて,この子の「利益」になるでしょうか。
子どもの機嫌を取りたい側は,「これだけ欲しがっているのだから買ってあげよう」と言うかもしれませんし,我慢するという訓練がなされないままに成長することが,この子の「利益」にならないこと考えて,買い与えないという判断をする親もいるでしょう。
それぞれがそれぞれの思惑で異なった主張をしがちなのです。そして,必ずしもどちらかが正しいとは言えないのです。
   
  
■面会交流の際も同様ではないかと思うのです。 
「お母さんを苦しめたお父さんとは会いたくない」と子どもが言った時,その言葉を文字通り受け取って,お父さんに合わせないことが,本当にその子にとって「利益」になるのかどうか。
きちんと自分の父親と向かい合って,欠点も含めて受け止めたほうが,「客観的・長期的」には「利益」になるのではないか,と思うこともあるのです。
ただ,さらに問題を難しくするのは,子どもは,必ずしも,「真意」をそのまま言葉にしない(あるいは出来ない)ことです。
日頃,父親の悪口を言っている母親の手前,父親に会いたくても会いたいとは言えない場合もあります。
逆に,母親が「父親ときちんと向かい合うべき」という方針を持っており,その気持ちを敏感に察する子どもが,会いたくなくても「会いたくない」と言えないこともあります。
   
  
■正直に申し上げると,私自身,依頼者の皆さんとの僅かな打ち合わせなどでは,到底,子どもの「真意」も「利益」も十分には理解できないのです(それは裁判所であっても同様だと思います)。
ただ,このような紛争の中にいる子どもは,多くの場合,その年齢からして,驚くほど,そして悲しいほど,「おとな」です。
   
  
■このように,面会交流の事件について,単に法律家に過ぎない私が,「真の解決」をすることができないかもしれません。
いろいろな問題を提起して,皆さんと一緒に考え,悩むことしかできないと思います。
ただ,それでも何もしないより,一助になりうることを信じて皆さんの相談に乗っているつもりです。

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