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2019年10月30日

◆ご相談の際の注意点-「原本」には何も記載しないで!(弁護士小林徹也)


■私のみならず,一般に弁護士に相談する場合のちょっとした注意点についてお話ししたいと思います。
   

■他人とのトラブルが生じた場合に,その根拠(分かりやすく言えば証拠となるものです)となる文書があることも多いでしょう。
典型的なものは,お金の貸し借り(金銭消費貸借契約)における契約書や売買の契約書などです。
あるいは,医療に関するトラブルでのカルテや診断書などもこれに当たるでしょう。
また,夫婦のトラブルについて,妻がつけていた日記やメモなども大事な根拠となり得ます。
   

■これらは通常,事案の理解や解決に役立つことが多いので,是非お持ちいただきたいのですが,注意していただきたいのは,これらの文書そのもの(「原本」と呼びます)に,説明のために手書きで書き込むことは避けていただきたいのです。
というのは,「原本」は通常,まさにその時に作成されたそのままのものであることで意義があり,証拠となりうるのです。 
相談に来られる方が,「そのままでは分かりにくいだろう」という「親切心」でいろいろ説明を書き入れたりすることがあるのですが,これはかえってマイナスになることがあります。
例えば,妻がつけていた夫の言動に関するメモは,まさにその時の気持ちのままに記載されているからこそ,例えば慰謝料に関する証拠として貴重なのです。
分かりにくいからといっていろいろ説明を加えると,分かりやすさは増すかもしれませんが,証拠としての「生々しさ」が失われかねません。
せっかくの,証拠の価値が下がってしまうこともあるのです。
また,いざこれを証拠として裁判などに提出する際,裁判官としては,どの記載が当時書かれたもので,どの記載が説明のために書き入れたものが分かりにくく,従って,弁護士が,「この部分は当時のもの,この部分は今回説明のために書き入れたもの」というようなことを,わざわざ文書で説明しなければならず,かえって分かりにくい証拠となりかねません。
   

■もし,説明が必要であると思われた場合は,原本には手を加えず,コピーを取り(最近はコンビニでもできますね),そのコピーに書き込んでください。
弁護士からのお願いです。

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