2019年5月10日

◆「誰か助けて」の声に応えたい(弁護士小林徹也)


■この世の中にトラブルはたくさんありますが,実は弁護士が解決できることはそれほど多いわけではありません。
「法律」という強制を伴う大きな力を使うものである以上,微妙な関係の調整は弁護士では難しい場合が多いのです。
   

■例えば,近隣トラブルの相談は多いのですが,その際,「今後も長く付き合いを続けていくお隣さんなので,あまり対立せずに解決してほしい」という「注文」がよくあります。
しかし,おわかりいただけると思いますが,弁護士が登場してしまうと,どうしても大げさになり,相手方も身構えます。
そして,相手方も弁護士を登場させてしまうと,ある意味対立は決定的になります。
このため,「法律」という強い力を使うほどのトラブルかどうか,が難しい判断となることがあります。
   

■また,離婚の場合でも,財産分与・養育費・慰謝料などの点において,判決にまで至れば,数字として明確に現れます。
しかし,例えば,子との関係は一生続きますが,その関係の適正化は,法律によっては十分解決できません。
   

■つまり,これまで決定的に不利だったものが,弁護士の「登場」で大逆転,ということもそれほどあるわけではありません。
特に近年,ネットによる情報収集が簡単になってきていますから,例えば,借金の返済をしなくてすむようになる時効制度なども,わざわざ弁護士がお知らせしなくとも,大抵の方はご存知です。
   

■ただ,それでも,新聞などを見ていると「ああ,こんなことがあるなら弁護士に一言相談してほしかった」と思うことがまだまだあります。
例えば,若い女性が,無理矢理契約書に署名させられ,それを根拠にAV出演を強要された,というような報道を見ると,「相談してくれれば絶対に止めてあげたのに」と思います。
もちろん,自分が遭っているトラブルが弁護士に相談するような類のことなのかも思いつかず,弁護士に相談するなどという選択肢を思いつかない状況に追い込まれていたりするからこそそのような被害にも遭うのでしょう。
また,弁護士に相談すること自体が,一般の人にとってはまだまだ心理的な抵抗があるのは,私たち業界の責任でもあると思います。
ただ,それでも,相談しさえしてくれれば,という思う機会が多いのも否めません。
   

■相談していただいたからといって,名案をご提示できるとは限りませんし,何の役に立たないこともあるかもしれません。
ただ,この世の中の多くの事柄が「法律」に従って動いているのも事実です。そして,弁護士は「法律」を使うプロです。
お困りのことがあれば,「ダメ元」でもご相談いただいてマイナスにはならないと思います。
人生の一つの「選択肢」として,弁護士への相談をいつも念頭においてください。

2019年3月6日

◆子どもの気持ちに寄り添って(弁護士佐久間ひろみ)


■子どものことに関心があります。弁護士になろうと思ったひとつのきっかけも,子どもが安心・安全に育つことに関わりたいということがあります。
なぜ私が子どもに関心があるのか,もう一度考えてみました。
それは,子どもは,まだ「未完成」で,大人の関わり方次第で,よい方向にも悪い方向にも進んでいくからだと思います
(法律の世界では,「可塑性(かそせい)に富む」という言い方をします)。
だから,少年は,大人と違う刑事手続が定められていますし,離婚などの様々な場面でも特別の配慮がなされます。
そして,弁護士は,この手続の中で,「可塑性」を大きく活かせる仕事だと思うのです。
   

■私たち弁護士が子どもに関わるのは少年事件や,あるいは学校でのいじめ問題でなどです。
これらの事件で難しいのは,先程の「可塑性」に関係して,単にその事件が法的に解決すればいい,というだけでは済まないことだと思います。
例えば,成人の刑事事件であれば,無罪にしたり,有罪でも刑を軽くすることが第一の目標となります。
そして,基本的には,判決が出てしまえば,それで「終わり」です。
他方で,少年事件の場合には,単にその場限りで処分を軽くすればよいというものではありません。
例えば,きちんと子どもと向き合って受け入れることができる家庭環境ではないにもかかわらず,少年院ではなく「自宅に戻ることが本当にその少年にとってベストなのか」を考えなければいけません。
   

■このように,少年に関わる事件では,何がその少年(その未来)にとって最良なのかを考えることが成人以上に重要になってきます。
私が事件を通じてその少年に関わることができる時間は,ほんのわずかかもしれませんが,その僅かな時間の中で,できる限り,一緒に未来のことを考えて,結論を出していきたいと思います。
少年や子どもに関わる事件についても遠慮なくご相談ください。
是非一緒に考えていきましょう。
 

2019年2月20日

◆学校でのいじめについて弁護士ができること(弁護士佐久間ひろみ)


■学校でのいじめによって、自殺する子どもがいたりするなど、とても悲しい事件が続いています。
いじめの辛いところは、一人で抱え込んでしまうことです。
子どもの立場からすれば、「いじめられるような子」と思われたくない、と親や友達に相談できずに一人で抱え込んでしまうこともありますね。
   

■いじめの解決策は色々あると思うのですが、まずは本人が誰かに「いやだ!」と伝えることが大切です。
いじめている側の子どもは、いじめているという意識がないこともあるのですから、まずは、「いやだ!」と伝えられるのが一つの解決策でしょう。
とはいっても、「いやだ!」と伝えることでいじめがエスカレートすることもあるかもしれません。
子どもによっては、「いやだ!」と伝えることが苦手なこともあります。また、「いやだ!」と伝えても解決しないこともたくさんあるでしょう。
   

■いじめっ子に「いやだ」と言えない場合、親や先生に相談することもできます。
しかし、最近多いのは、先生に相談しても、何も対応してくれないということです。
親に相談して、親から先生に伝えても、先生が対応してくれないこともあります。
そんな時、弁護士が役に立つかもしれません。
「いじめ」といっても、小さなことから、大きなことまで。ケガをするようないじめも少なくありません。
ケガをするようないじめを受けたとき、いじめられた側は何ができるでしょう。
・いじめた側に損害賠償を請求する
・学校に対し改善を求める、学校の対応の責任を追及する(損害賠償請求を含む)。
   

■このように,いじめを当事者で解決することは難しいこともあります。
スクールロイヤー(学校・法律家)の必要性も最近話題になっていますね。
いじめで悩んでいる親御さんも孤立せずに、一度当事務所に相談してみてください!

2019年1月23日

◆台風などの自然災害による賠償責任のこと(弁護士小林徹也)


■近年,様々な自然災害が発生しています。
例えば2018年9月4日に関西を通過した台風21号の被害については,被害を受けた方,賠償を請求された方のいずれからも,いくつもご相談・ご依頼を受けました。
屋上に設置していた物置が落ちて隣家の屋根に穴を開けてしまった,同じく屋上の建物の屋根が飛ばされて近くのアパートの瓦などを剥がしてしまった,などです。
   

■法的には,土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を与えたか,が問題となります(民法717条1項)。
つまり,きちんと設置していなかった,その後もきちんと点検していなかったから飛ばされて被害を与えたのかどうか,ということです。
他方で,台風という自然災害であることからきちんと設置していても被害は避けられなかったということも考えられます。
   

■私は,まずは現場をよく見たうえで,設置状況や近隣の状況はどうなのか,被害の程度などを確認し,基本的には,100か0ではなく,お互いに譲歩して何割かを支払うという形で早期の解決を目指します。
前述の,屋根に穴が開いた件については,被害者の方から台風直後にご相談を受け,直ちに現場に行って確認することが出来ました。
このため,物置の設置の問題状況が早期に確認できたことから,具体的な現場の状況を分析したうえでの説得的な主張ができ,相当な金額で示談をまとめることができました。
   

■様々な異常気象が続くなか,今後も自然災害による被害が生じる可能性は多いと思います。
他方で,大きな被害ですと,生活状況を建て直すことで精一杯で,なかなか民事の賠償責任にまで,すぐには気が回らないのは当然です。
ただ,災害が生じたら,その状況をよく撮影しておく,という程度でも後日役立つことが多いのです。
このような知識を頭の片隅においていただき,落ち着いたら遠慮なくご相談ください。

2018年11月21日

◆時には厳しいことを言わせていただきます(弁護士小林徹也)


■相談に来られる方は,多くの場合,人生の一大事として,一大決心をして弁護士の事務所に来られます。
弁護士と会うのも初めてという方が多く,皆さん緊張しておられます。
   

■そこで,私は,出来るだけ話しやすいように,リラックスしてもらう雰囲気を心がけます。
「まとまってなくともよいですからまずは思いつくことから話してください」,あるいは「ではこちらから少しお聞きしていいですか」などと,話しやすい形式的なことからお聞きすることもあります。
堰を切ったように話される方には,時間の許す限りお話しいただいて,人心地着いてから,ゆっくりまとめていくこともあります。
   

■他方で,冒頭に申し上げたように,多くの方にとっては人生の一大事です。
十分な根拠もないまま楽観的なことを申し上げては,かえって相談者のためになりませんし,下手をすれば,労力や時間を無意味に失うことにもなりかねません。
   

■従って,厳しい結果を申し上げざるを得ない場合は,言い方には気を付けますが,率直にそのことを申し上げるようにしています。
もちろん,その結果を聞いてがっかりされる方もおられます。ただ,極めて低い可能性のために,時間を浪費していただきたくないですし,そのために費用をいただくのも心苦しいのです。
そのことは是非ご理解いただきたいと思います。

2018年11月14日

◆売買代金と消滅時効(弁護士三上孝孜)


○あるブティックの女性経営者が、10年来の女性顧客の洋服代の未払いに困っていました。
顧客は、洋服代を支払うときに、新しい洋服を掛買するなどしていたので、未払残高が増えていきました。
ブティックにとっては大事な顧客ですので、強く催促することを控えていました。
ところが、ある時期から顧客は、ブティックに来なくなりました。経営者は、心配して何度も手紙を送り、支払いを催促しました。それでも一向に支払いがないので、弁護士に相談して裁判を起こしました。
   
○これに対し、顧客は2年の消滅時効を主張してきました。最後の売買から2年が経過していたのです。
経営者は、何度も手紙で催促しているので、時効で残金が消滅することはないと思っていたのです。
裁判では、判決になれば、ブティックの敗訴が予想されましたが、裁判所の勧告により、顧客も残代金の一部を支払うことで和解が成立しました。
   
○現在の民法では債権の消滅時効は原則10年になっています。
ところが、例外的に、短期の時効制度があり、商品の売買代金などの消滅時効は2年です。又飲食代金などの消滅時効は1年になっています。
   
○消滅時効は、手紙で催促しただけではとまりません。
時効にかかりそうになると、内容証明郵便で催促し、それから6か月以内に裁判を起こせば、時効にかかりません。これを時効の中断といいます。
   
○なお2020年4月から民法の債権関係が大きく改正されます。
消滅時効は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、又は権利を行使することができる時から10年間行使しないときに適用されることになりました。
商品売買代金などの短期の時効はなくなりました。商品売買代金などの消滅時効は、原則5年に延びたわけです。又貸金などの消滅時効も原則5年となります。

2018年9月26日

◆動物病院における医療過誤事件について(弁護士平山敏也)


・最近、ペットの医療過誤についての裁判が増えています。私が担当した事件で、動物病院の過失が認められたケースを報告します。
   

・依頼者のAさんは、飼っている犬(ヨークシャーテリアのアイちゃん)が食欲不振になったので大阪市内の動物病院に連れて行ったところ、検査の結果、腎臓の数値に問題があることが分かりました。
動物病院の院長はAさんに子宮全摘出手術を行なうことを勧めました。エコーの画像では子宮に悪いところが見当たらなかったにもかかわらず、Aさんに「腎臓は特別に悪くはない。子宮蓄膿症の疑いがある」と説明したのでした。
Aさんは「それならば」と子宮全摘出手術をしてもらうことにしました。
しかし、手術の結果、子宮に悪いところはありませんでした。しかも、その後、アイちゃんの腎臓の状態は悪化し、死ぬまで点滴を続けなければならないことになりました。
   

・「アイちゃんは、無関係の手術を行なったことにより、慢性の腎臓病(慢性腎不全)になってしまった」、私たちはそう考えて、動物病院に対して提訴することにしました。
私たちが問題にしたのは、①元々腎臓の弱っている犬に、不要な手術(しかも全身麻酔の)という負担をかけたこと、②手術の際に使うべきでない鎮痛剤を使用したこと、③手術後必要十分な点滴を行わなかったこと、の3点です。
   

・裁判の中では、多数の文献を提出し、腎臓の専門家である獣医師の先生に証言をしてもらうなどの立証を尽くしました。その中で「全身麻酔での手術は、腎機能が正常な犬であっても血圧低下により腎臓への血液量が低下し、腎機能は正常の50%程度に一旦は低下する」ということが明らかになるなどしました。
   

・一審の大阪地裁判決では上記の②と③について獣医師の注意義務違反を認め、これによりアイちゃんが慢性腎不全になったと判断し、116万5302円の損害賠償を認めてくれました。この種事案について100万円を超える賠償額というのは大変高額なもので、金額的には大変満足のいくものだったのですが、Aさんとしては上記①を認めてもらえなかったことに悔しさが残りました。

・そこで苦渋の決断の上、控訴しました。
大阪高裁は①~③の全ての注意義務違反を認めてくれたのですが、その一方で手術後の点滴費用等について注意義務違反行為との因果関係が認められないとして、損害賠償額を28万4260円へと大幅に減額されてしまいました。
実は、手術後転院した先の獣医師がアイちゃんの症状を非定型アジソン病と診断していた事情もあり、因果関係が認められるかには若干の不安があったのですが、それが的中してしまいました。非定型アジソン病というのは副腎の病気で、そもそもその診断自体に疑問があるのですが、私たちの主張は認められませんでした。
その後、最高裁に上告しましたが残念ながら認められず、高裁判決が確定しました。
   

・これまで民法では物と扱われていたペットですが、飼い主にとって、ペットは家族です。今回の地裁判決は、飼い主の思いに正面から答えた判決であったと思われます。高裁判決はやや揺り戻されてしまった印象もありますが、それでも獣医師の注意義務違反を3つの点で認めてくれました。
本件判決を踏まえて、今後、動物の医療過誤に関する裁判がどのような流れになるのか、注目されるところです。

2018年6月12日

◆古い家屋への明渡請求が増えています(弁護士小林徹也)


■古くから住んでいる家について,急に家主や地主から明け渡しを請求された,という相談を受けることがよくあります。
よくあるのが,地元の大地主が,一帯を整理して開発しようとする場合です。
地主側は大抵の場合,十分な資力があり,従って,建築士などの専門家に相当の金額を払って詳細な意見書を作成させ,当該建物が十分な耐震構造を有していないことを指摘してくることが多いようです。
   
■残念ながら,例えば戦前,あるいは終戦直後頃に建てられたような建物について,このような訴訟を起こされると,現在の耐震構造からはそのまま維持することが難しく,最終的には明け渡しが認められることが多いように思います。
   

■そして,このような場合,基本的には立退料の金額交渉になることが多いのです。この点,最終的には裁判所が決めることになるのですが,理屈はともかく,明け渡しを請求する側の事情や,請求される側の事情などの個別事情を考慮し,また裁判官の資質なども相まって,難しい対応を迫られることがよくあります。
   

■最終的に依頼していただくかはともかく,そのような請求をされた場合には最初の対応が重要です。まずは,ご相談ください。

2018年5月30日

◆増えてきた中国企業との訴訟(弁護士小林徹也)


■近年,中国の会社と取引を行う日本企業が増えています。大企業ばかりではなく,小さな商社などが企業の請負として,中国の会社に発注することはよくあります。
   

■中国企業の技術は近年格段に上がってきてはいますが,それでも日本企業が要求する品質に合致しないことがあります。特に大量の製品を発注した場合などは,受注した中国の会社がさらに町の小さな会社に下請けさせることもよくあり,そのような場合には,発注元の要求する基準を満たさないことが起こりえます。
   

■不良品が少ない場合には話し合いでなんとか解決しているようですが,不良品が大量な場合などには,日本の会社が支払いを拒否することが当然起こりえます。そして,これに対して,中国の会社が日本の弁護士に依頼して,裁判を起こしてくることがあります。
ただ,このような取引の場合,きちんとした契約書もなく,また,品質についても明確な基準がなく,いざ争いとなった場合には,事実関係がかなり複雑になることがあります。
   

■このような事案においては,当初は,当事者同士で解決しようとすることが多いのですが,専門家の立場からすれば,問題が生じ始めた時点で早期に相談に起こしいただき,文書による合意など適切かつ迅速な対応をしたほうがよい場合が多いのです。
いずれにしても遠慮なくご相談ください。

2018年3月6日

◆家賃の値上げ(弁護士小林徹也)


■「大家より賃料を値上げすると言われたが,応じなくてはいけないのか」との相談を受けることがあります。
   

■賃貸借契約というのはあくまで「契約」,つまり当事者で決めた約束ですから,賃料も含めて,いずれかが一方的に内容を変更できるわけではありません。
従って,大家さんが一方的に値上げを宣言してきたからといって,これに無条件に応じる必要はありません。また,その申し入れを無視していただけで,これに応じたことになったりはしません。
   

■但し,契約締結から何年も経過していて,今となっては,賃料が周囲の相場に比較して安すぎたり,高すぎたりする場合があります。そんな場合でも家賃の変更が全く認められないとすればこれは不都合です。
   

■そのような場合に,賃貸人と賃借人が円満に合意をして変更することはもちろん可能です。
また,いずれかが応じない場合にも,調停を申し立て裁判所に間に入ってもらい話し合って変更をすることが出来ますし,それでも一方が応じない場合には,適切な金額を裁判所に決めてもらうことができます。
   

■いずれにしても,大家から家賃の増額を求められた,あるいは調停を起こされたなどのことがありましたら,遠慮なくご相談ください。

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