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2016年8月3日

◆離婚事件のご相談を聞くにあたって心がけていること(弁護士小林徹也)


■皆さんから離婚事件の相談を受けるにあたって,いつも心がけていることがあります。それは,①法律家としてのアドバイスと,②法律家を離れた個人としてのアドバイスを,相談者に分かるように分けて説明することです。
   

■弁護士としての意見
 これは,すでに離婚を決めておられる方が,配偶者や,あるいは不貞相手に対し,どのような法的手段を採ることができるか,を説明することです。
 婚姻中であれば婚姻費用の請求ができること,不貞相手に対しては慰謝料の請求ができること,過去の事例に照らしてどれくらいの金額が請求できるか,などです。
   

■個人としてのアドバイス
 ただ,相談に来られる方(女性が多いですが)が,きちんと気持ちを整理して方針を確定させていることはそれほど多くありません。
 当然のことながら,長い時間をかけて,全人格的な結びつきを目指した婚姻生活を終わらせようかと考えているのですから,単純にお金の問題だけに置き換えることは困難なことが多いのです。
 そのような場合に,安易に「それは離婚したほうがよいですよ」とか,「離婚したら経済的に大変ですよ」とか言うことはできません。
 ただ,相談者は,弁護士のことを「専門家」と見ておられることが多いですから,そのような意見ですら「従ったほうがよいのかも」と思いがちです。
   

■弁護士は法律の専門家に過ぎません。
 私たち弁護士は,法律については国家的な資格に基礎付けられた専門的な知識を持っていますが,それ以外のことについては基本的に素人なのです。
 もちろん,同種の事件を数多く扱うことによって,法律以外の知識が蓄積されることもありますが,多くの場合,弁護士資格のように,そのことを客観的に証明することはできません。
   
 
■そこで,私は離婚の相談を受けた場合には,「あなたが離婚しようと決めた時にはこのような法的手段があります。ただ,離婚したほうがよいかどうか,不貞相手に請求するかどうかについては,お気持ちの問題もあり,弁護士としてはアドバイスすることはできません。ただ,あくまで私個人の意見として申し上げるなら~」として,法的なアドバイスかどうかをきちんと分けて説明するようにしています。
   

■もちろん,そもそも弁護士がそのような個人としてのアドバイスをすべきではない,という意見もあるでしょう。
 しかし,現実に,離婚問題で憔悴しておられる相談者を目の前にすると,例えば,「どんな複雑に見える離婚事件も必ず終わりましたよ」とか,「とりあえず今すぐに決めずに,しばらく何も考えずにゆっくりされてはどうですか」などと言うことがあります。
   

■いずれにしても,弁護士にとっては多くの事件の一つであったとしても,相談に来られる方にとっては,人生の一大事である,ということを常に意識しながら,ご相談をお聞きするように心がけています。
   

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