2019年9月11日

◆離婚調停は弁護士をつけなくてもできますか(弁護士小林徹也)


■離婚について当事者間で話しがつかない場合には,急に白黒を裁判所に決めてもらう手続である訴訟を起こすことは出来ず,原則として,家庭裁判所に「調停」(裁判所を間に立てた話し合いの場)を申し立てる必要があります(調停前置主義)。
では,この調停とはどのような形で進められるのでしょうか。
   
  
■調停を申し立てると,裁判所の混み具合や,申立の時期にもよりますが,だいたい1ヶ月程度くらいで「期日」が決められ,原則として両者ともに,その日に来るように通知が来ます(もちろん,DVなどの事情があり,相手と別の日にしてほしいなどの事情がある場合には,その旨希望すれば配慮してもらえます)。
   
  
■期日に出頭すると,まずは申し立てたほうから個室で調停委員が話しを聞きます(原則として調停委員と申立人だけです。また,当事者が顔を合わせることはなく,相手は別の部屋で待たされます)。
調停委員は,通常,初老の男女がペアとなっています。また,弁護士などの法律家ではない場合が多いです。
   
  
■調停の手続には必ずしも弁護士をつけなくても構いません(訴訟もそうですが,訴訟の場合は書面の書き方などにかなり規則や専門性があるので弁護士をつけるべきです)。
実際,弁護士をつけないまま調停をしておられる方はたくさんいます。
ただ,私が見聞きする範囲では,弁護士がついていないと,以下のような問題点があるように思います。
   
  
■もちろん調停委員にもよりますが,概して,調停委員は,説得しやすい方に譲歩を迫る場合が多いように思います。
そして,弁護士がついていなければ,「調停委員が言う以上やむを得ないのかも」と考えて受け入れてしまいがちです。
十分な知識がないまま,不利な内容で調停が成立している場合をよく見ます。
   
  
■また,最終的な解決をしないまま中途半端な形で終わらせしまい,後に紛争が再燃する場合があります。
よくあるのは以下のようなケースです。
離婚をしたうえで,妻が子を引き取り,夫が一定の養育費を支払う内容で調停が成立しました。夫としては,収入の範囲でなんとか支払える金額を決めたつもりでした。
ところが,調停が成立してすぐに妻が「慰謝料を支払え」と訴訟を起こしてきました。夫は,調停ですべてが終わったつもりでいたのに寝耳に水です。
このような場合,もし夫側に弁護士がついていたら,調停が成立する際に,「ここに定めた以外には今後互いに何も請求しない」(清算条項)という条項を入れることを求めます。
妻がもし慰謝料を請求するつもりなら,そのような条項を入れることは認めませんから,慰謝料についても話し合いが続くことになります。夫としては,慰謝料の支払いも念頭において,養育費の話し合いもできることになります。
ところが,上の例では,調停委員は,妻に「慰謝料については後で訴訟を起こせばよい」と助言しながら,夫にそのことを伝えていなかったのです。
したがって,あえて清算条項を入れていませんでした。もちろん,法的には問題があるわけではありません。しかし,「これですべて片が付いた」と夫が考えるのも無理からぬように思います。
このような例を,私は何件か経験しています(後に,上記のような例の妻,あるいは夫から相談を受けたものです)。
   
  
■従って,よほど問題がない場合以外は,調停においても弁護士をつけたほうが無難であると思います。せめて,成立前にその内容で成立させてよいか,弁護士に相談すべきです。
費用については,法テラスなどを利用できますので,遠慮なくご相談ください。

2019年8月27日

◆夫の「モラハラ」と離婚(弁護士小林徹也)


■最近,「モラハラ」という言葉を耳にすることが多くなりました。
これは,「モラル・ハラスメント」の略であり,「言葉や態度で巧妙に人の心を傷つける精神的な暴力」と定義されています。
この言葉や記事を見て,私が思い浮かべるのは,私が過去に扱ったいくつかの離婚事件における夫です。
私が扱った離婚事件によく見られる夫は,このような「モラハラ」の常習者であることが多かったのです。
   
  
■このような夫の特徴として,まず,自分が絶対正しいと思いこんでいることが挙げられます。
妻が少しでも反論しようものなら,1時間も2時間も延々と,妻が疲れて「その通りです」と認めるまで自分の意見を主張し続けます(ほとんど徹夜で話しを聞かされた,という依頼者もおられました)。
このようなことが何度も,何年も続くものですから,妻はそのうち,「マインドコントロール」されてしまい,夫の言っていることは常に正しく,自分が叱られるのが当然だと思いこむようになってしまいます。
家庭では,夫が主導権を握り,妻は夫の機嫌ばかりを伺うようになっていきます。
夫は,妻の行動にいちいち文句をつけたり,舌打ちをしたりします。また,機嫌の悪い時は無視を決め込みます。
これに対して,妻は,「自分が悪い」と思いこまされて,限界に至るまでそのような生活を続けるのです。妻は,とにかく一日問題なく過ごせればそれでいい,という心情になってしまいます。
依頼者の中には,夜寝る時,「明日は無事に過ごせるだろうか」,「このまま目が覚めなければいいのに」などと毎晩思っていたという方もおられました。
   
  
■そして,限界を超えてどうにも堪えられなくなり,離婚を考えて弁護士のところに相談に来て,「そのような夫の態度は異常ですよ」と言われてはじめて夫の態度に疑問を持ち始めます。
もちろん,長年の「マインドコントロール」は簡単には解けません。
別居して,調停を起こして打ち合わせを重ねる中で徐々に,ようやく「夫はおかしかった」ということを実感していかれます。
   
  
■他方で,夫は,それまで従順だった妻が,はっきりと主張や反論するようになることから「弁護士が言わせているに違いない」と思いこむことがよくあります。
そこでよくある夫からの要望は,「直接妻と話させてほしい。直接に話せば理解してもらえる」ということです。
そのような場合,私は,依頼者とよく相談したうえで,了解を得られれば,調停で直接面談させるようにしています。
そこで,夫は,「マインドコントロール」が解けて自立した妻に愕然とするのです。
   
  
■このような男性は,概して世間体はよく,会社などでは好印象を持たれているようです。
従って,いざ調停や裁判になるとあまり無理は言いません。
よく依頼者である妻が,「刃向かったら何をされるか分かりません」と怯えておられることがあるのですが,少なくとも私が扱った事件では,事前にどんなに電話などで威勢のいいことを言っていても,調停や裁判で無茶なことをした男性はいません。
   
  
■もし夫婦関係で悩まれており,離婚を考えているものの,「本当に自分は間違っているのだろうか」あるいは「夫には刃向かえない」と思いこんでおられる方がおられましたら,一度ご相談ください。多くの場合,あなたが正しいのです。

2019年8月21日

◆面会交流で「苦しむ」子どもたち(弁護士小林徹也)


■面会交流で紛争になる事例が増えているように思います。
面会交流をどのように捉えるべきか,親の権利なのか,子ども自身の権利なのか,いろいろな意見があります。
そして,近年は,これを子どもに重点を置く権利と捉える傾向にあります。
ただ,大量の事例を処理する必要性からやむを得ないとは思いますが,裁判所は,良くも悪くも,面会交流を杓子定規に捉えているように感じます。
例えば,面会交流が問題となると,両親それぞれに,裁判所で面会交流に関するビデオを見るように強く勧めますし,基本的に「面会交流はしなくてよい」などという結論は(暴力などの危険がない限り)決して出しません。
   

■ただ,子どもの「真意」や,真の意味での「利益」を把握するのはとても難しいことだと思います。 
こんなことを言うと,大きな反論が来るかもしれませんが,たとえ専門家と言えども,子どもの「真意」などというものは明確には分からないと思います。 
さらに,子どもの「真意」と,客観的な子どもの「利益」が必ず一致するわけではないことも,問題を難しくします。
正直,法がどこまで介入すべきなのか,介入してよいのか,悩むことも多いのです(それは裁判所も同じだと思います)。
   
  
■こんな風に説明すると,私の言いたいことが分かってもらえるでしょうか。
おもちゃ屋の前で,「あのおもちゃが欲しい」と言って泣き叫ぶ子ども。
この子の「真意」はおそらく「あのおもちゃが欲しい」ということに尽きるのでしょう。 
では,その「真意」のままにおもちゃを与え続けることが,客観的・長期的にみて,この子の「利益」になるでしょうか。
子どもの機嫌を取りたい側は,「これだけ欲しがっているのだから買ってあげよう」と言うかもしれませんし,我慢するという訓練がなされないままに成長することが,この子の「利益」にならないこと考えて,買い与えないという判断をする親もいるでしょう。
それぞれがそれぞれの思惑で異なった主張をしがちなのです。そして,必ずしもどちらかが正しいとは言えないのです。
   
  
■面会交流の際も同様ではないかと思うのです。 
「お母さんを苦しめたお父さんとは会いたくない」と子どもが言った時,その言葉を文字通り受け取って,お父さんに合わせないことが,本当にその子にとって「利益」になるのかどうか。
きちんと自分の父親と向かい合って,欠点も含めて受け止めたほうが,「客観的・長期的」には「利益」になるのではないか,と思うこともあるのです。
ただ,さらに問題を難しくするのは,子どもは,必ずしも,「真意」をそのまま言葉にしない(あるいは出来ない)ことです。
日頃,父親の悪口を言っている母親の手前,父親に会いたくても会いたいとは言えない場合もあります。
逆に,母親が「父親ときちんと向かい合うべき」という方針を持っており,その気持ちを敏感に察する子どもが,会いたくなくても「会いたくない」と言えないこともあります。
   
  
■正直に申し上げると,私自身,依頼者の皆さんとの僅かな打ち合わせなどでは,到底,子どもの「真意」も「利益」も十分には理解できないのです(それは裁判所であっても同様だと思います)。
ただ,このような紛争の中にいる子どもは,多くの場合,その年齢からして,驚くほど,そして悲しいほど,「おとな」です。
   
  
■このように,面会交流の事件について,単に法律家に過ぎない私が,「真の解決」をすることができないかもしれません。
いろいろな問題を提起して,皆さんと一緒に考え,悩むことしかできないと思います。
ただ,それでも何もしないより,一助になりうることを信じて皆さんの相談に乗っているつもりです。

2019年6月20日

◆離婚の相談があった場合の弁護士の対応について(弁護士小林徹也)


■当然のことですが,離婚の相談に来られる方の中には,それまでの婚姻生活がうまくいかなかったため,精神的にもまいり,どうすればよいのか分からないという方が多くおられます。
   
■もちろんそのような方には十分な配慮はしますが,弁護士は,精神科医ではありませんから,メンタルなケアを行うことはできません。
ただ,少なくとも,法律的に何が問題となっていて,何をどのように解決していけば,前進できるかについて,ひとつづつ整理してご説明することを心がけています。
   

■一般論として言えば,離婚の際には,離婚できるかどうか,に加えて,未成年のお子さんがおられる場合にはその親権,ある程度の財産がある場合にはその分配の方法(財産分与),また不貞などいずれかの責任によって婚姻生活がうまくいかなくなったのであれば,慰謝料が認められるかどうか,などが問題となり得ます。
   

■そのひとつひとつについて,個々の相談者の場合,何が問題となる可能性があるのか,それを解決するためには,まず何をしなければならないのか,その見通しはどうか,などを整理してご説明するように心かげています。 例えば,まず,なぜ今のような事情になったかについて,可能な限りメモを作成していただき,私がそれを整理し,法的に評価することで,相談者の頭の中で,婚姻生活の何が問題で,それが客観的にどのように捉えられるのかが少しづつまとまっていくのです。
そのうえで,一緒に,ひとつ一つ片付けていくのです。
細かいことですが,「まず戸籍謄本を取ってきてください」「通帳を持ってきてください」などと段取りを決めて動いていただきます。
   
■離婚という人生の一大事に直面した時,あたかも超えることができないような高い山のように見えるかもしれません。
しかし,前述のように,目の前の一つ一つの石の中から確実なものをひとつひとつ選んで,そこをつかんで踏み上がっていけば,大抵は,確実に超えていけるものです。
遠くを見ることは難しくても,すぐ先の足元を見ることはそんなに難しくないはずです。
まずは遠くを見ることを止めて,足元を見てください。思ったよりもしっかりしていますよ。

2019年5月20日

◆離婚事件-「大丈夫ですよ」と言えるように(弁護士小林徹也)


■1994年に弁護士になって四半世紀が過ぎ,その間,離婚事件を含む多くの案件を経験してきました。
その一部については,このホームページで御報告させていただいている通りです。
   

■離婚事件について言えば,すでに100件近く扱ってきました。
もちろん,離婚事件に関する法的な知識は弁護士になった時からありましたが,書籍などの知識だけでは対応できないことも多く,まだ経験が浅かった頃には,適切でない対応をしてしまうこともありました。
いくら法律書に理屈は書いてあったとしても,個々のケースにおいて,それを実現するための労力や時間,また具体的な見通しまでは経験を積まないとどうしても分からないものです。
また,言い方は若干適切ではないかもしれませんが,調停委員を通じた,相手方や裁判所との「駆け引き」は,経験がないと難しいものです。
   

■そうやって,多くの経験を積んで,見通しも立てられるようになってきました。
もちろん,楽観視できる事案ばかりではありませんし,期待しておられるような結果が得られないこともよくあります。
その場合には厳しい見通しをきちんとお伝えすることも大事だと思っています。
ただ,一つ言えることは,終わらなかった事案はありません。
そのような経験から,今は,不安な心持ちでこられる相談者の方に,ある程度の自信を持って見通しをお伝えし,「大丈夫ですよ」と申し上げることができます。

2019年4月1日

◆モラハラやDVにより自主的な判断能力が弱まってしまう妻-特にお金の持ち出しについて(弁護士小林徹也)


■相変わらず,離婚のご相談をよく受けるのですが,夫からの「マインドコントロール」により自主的な判断能力が低下している方がおられます。
   

■例えば,婚姻後の妻の協力があって貯めたお金であるにもかかわらず(従って,法律上は名義にかかわらず共有財産です),別居しようとする時,「夫の了解を得ずに使ってもよいのでしょうか」などと迷われて当職に相談されることがあります。
もちろん,別居後の夫の生活にも配慮することは必要ですが,名義がいずれであっても半分は妻のものなのです。別居後の生活のために,ある程度のお金を持ち出すのは当然のことです。
   

■これに対し,夫側が「自分の名義の金を引き出して持って出たら横領や窃盗になる。そんなことをしたら警察に被害届を出す」などと主張し,妻がこれに怯え,動けないことがあります。
しかし,共有財産を合理的な範囲で使ったり持ち出したりしても,決して犯罪は成立しません。
私がご相談を受けた件でも,実際に夫側が警察に被害届を出したケースはいくつもありますが,現実に警察が動いたりしたことは一度もありません。
   

■もちろん全く無制約に使っていいというわけではありませんが,たとえば無職の妻が別居にあたってある程度の金を持ち出すのは当然のことです。
自分名義の金がないからといっていつまでも夫にしばられている必要はありません。
ただ,どの程度なら問題にならないかの判断に迷われるのは当然のことでしょうから,そのような場合には遠慮なく当事務所までご相談ください。

2019年2月13日

◆「不貞」の証拠にはどこまで必要でしょうか(弁護士小林徹也)


■不貞問題に関する相談が増加
近年,夫婦関係に関する相談や事件依頼が増えると共に,不貞問題に関する相談も増えてきています。
夫が不貞をしたためにその不貞相手に損害賠償請求を行った事案,あるいは,逆に,妻子ある男性と不貞関係になったが,その男性の妻から損害賠償請求を起こされた事案など,多くの事件を扱っています。
   

■よくある質問-どんな証拠が必要でしょうか。
このような相談の中でよく聞かれるのが,不貞が疑われるが,これを「証明」するためにどの程度の証拠が必要か,ということです。
相談者がよくお持ちになるのが興信所の報告書です。確かに,ホテルに出入りする場面などは,裁判になった場合には,極めて有力な証拠となります。
しかし,興信所に依頼するには高額の費用が必要となる場合が多いうえ,また,依頼の際のトラブルもよくあることから躊躇される方も多いと思います。
   

■裁判における「証拠」の意味
ただ,裁判における「証拠」とは,裁判官に「確からしい」と思わせる程度のものかどうかであり,法律で「これが必要です」と決まっているわけではありません。
従って,上のような「決定的な証拠」がなくとも,例えば,ある時期から頻繁に宿泊が増えた,履歴に不審な電話が頻繁にかかっている,避妊用具を持っていた,などについて,法廷における証言で具体的に指摘できれば,裁判所はかなり疑いを持つでしょう。
判決では「不貞があった」と認定されないとしても,破綻に関する有責性や慰謝料などの有力な根拠となり得ます。
また,不貞事件は和解で解決することが多いのですが,その場合には,上のような事情は和解を有利に進めるうえでの有力な事情となります。
   

■要は,相談者が,解決のうえでどこまで求めるかによっては,「決定的な証拠」がなくとも総合的な判断で柔軟な解決があり得るということです。
ただ,このような判断には経験に基づいた専門的な知識が必要となります。
配偶者等の不貞を疑っているが決定的な証拠がない場合にどこまで追及できるか,についてお悩みの方は遠慮なくご相談ください。
(なお,当HPの別項『不貞問題に関する相談が増えています』もご参照ください)

2019年2月6日

◆遠方にいる配偶者に対する離婚調停について-電話会議などの活用(弁護士小林徹也)


■離婚の話し合いがまとまらない場合には,まず家庭裁判所に調停という話し合いの申立をする必要があります。
(当HPの別項「弁護士をつけなくても離婚調停はできますか」も参照してください)
どこの家庭裁判所に申し立てる必要があるかですが,原則として,相手方の居住地を管轄する裁判所となります。
例えば,相手が大阪市に住んでいる場合には,大阪家庭裁判所となります。
   

■ただ,時折相手方となる配偶者は遠方に住んでいることがあります。
例えば,横浜で夫と婚姻生活を送っていた妻が,子を連れて大阪に帰ってきた場合,離婚調停を申し立てるためには,横浜家庭裁判所に申立を行う必要があります。
大阪から横浜家庭裁判所に行くには交通費がかかります。
しかも,弁護士を付けるとなると,弁護士の交通費や日当なども必要となり,経済的な負担が増します。
   

■このような場合,選択肢としては,大阪で居住しながら,横浜の弁護士に依頼するという方法もあり得ます。
ただ,離婚の相談は,直接に弁護士が対面してお話しをお聞きすることが重要です。するとどうしても横浜に何度も行くことになりかねません。
   

■そこで,最近,電話会議による調停がよく行われます。
基本的に,初回と,調停成立時である最終回は裁判所に出頭する必要がありますが,その間の期日については電話で行うのです。
こちらの依頼者には弁護士の事務所にお越しいただき,相手方が最寄りの家庭裁判所に出頭して,電話機のスピーカーとマイクを利用して(最近のものにはこの機能が付いているものが多いです),調停委員と電話でやりとりするのです。
初回さえきちんと出頭して調停委員の人となりを知っていることを前提とすれば,それほど違和感はありません。
   

■相手方が遠方に住んでいるために離婚調停などをためらっている方がおられましたら,上記のような方法もありますので,遠慮せずご相談ください。

2019年1月16日

◆離婚にまつわる問題-法的に面倒な「思い出の品」の返還(弁護士小林徹也)


■離婚するにあたっては,財産分与,慰謝料,お子さんがいる場合には親権や養育費など様々な問題が発生しますが,ここでは以外と見過ごされがちな小さな問題ですが,当事者の方にはいつまでも心残りになっていることを御紹介したいと思います。
   

■離婚の前に別居することが多いと思われますが,預貯金や証券,保険などその存在が銀行や証券会社などの第三者によっても証明できるものは,一方当事者がその存在を否定しても,場合によっては裁判所を通じて調査するなど,対応の方法があります。
   

■ところが,学生時代のアルバム,卒業証書,友人からのプレゼントなど本人にとってはとても大事な思い出の品であるものの,客観的な財産価値としてはほとんどないうえに,本人以外の第三者によってはその存在の証明が困難なものが多いこともおわかりいただけると思います。
そして,別居するような場合には,着の身着のまま,とにかく応急の生活のことしか頭にないことが通常で,このような思い出の品にまで考えが至らないのはある意味当然です。
   

■しかし,いったん別居して,調停などを進めるうちに一段落した時,「そういえばあのアルバムは返してもらえるのかしら」などと考えるようになり,その時になって相談を受けることがよくあります。そこで,相手方(多くは夫)に返還を求めるのですが,調停などの法的手続にまで至っているこじれた関係にある場合,夫はなかなか返還に応じません。
それでも,その存在を認めているのであればまだ請求の方法はありますが,困るのは,「そんなものはない」とか「すでに返した」などと言われた場合です。
相手方が保管していることを証明する責任は,返還を求める側にあるのですが,これはそう簡単なことではありません。
また,裁判所なども,大きな財産価値のあるものについては取り合ってくれますが,ちょっとしたアルバム程度だと,「それどころじゃあないでしょう」という感じで,あまり真剣に取り合ってくれないことが多いのです。
   

■離婚自体はうまく解決できても,このような思い出の品が結局最後まで返してもらえず,小さな心残りをもったままの依頼者の方を何人も見てきました。
そこで,私は,別居を検討されている相談者の方には,「大変な時にこんなことをご説明するのは何ですが,」と前置きして,「あとで返してもらうのが大変なので,ちょっとした思い出の品なども,大事なもので,かつ持ち出せるなら一緒に持ち出したほうがよいですよ」と助言するようにしています。

2018年12月5日

◆子連れの相談も遠慮なく(弁護士小林徹也)


■小さいお子さんがおられるお母さんから,「看てくれる人がいないので,子どもを連れていってもよいでしょうか」と遠慮がちに言われることがあります。  
結論的に言えば,全く問題ありません。
これまで何度も子連れの方のご相談を受けましたが,問題になったことはありません。
逆に,親権を争っている離婚事件や面会交流の事件などでは,私自身,子どもの様子を把握することが出来るので,調停の場などで説得的に主張することができる場合もありました。  
個人的にも,私は子どもが好きなので,苦になりません。
   

■あえて言えば,ある程度物心がついたお子さんが,弁護士の事務所で一緒に話を聞かなければならないという状況に心が痛むことはありますが…
いずれにしても,私自身は,全く構いませんので,遠慮なく連れてきてください。
(プレイルームを完備するほどの広さはありません。申し訳ありません…)
   

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