2019年6月20日

◆離婚の相談があった場合の弁護士の対応について(弁護士小林徹也)


■当然のことですが,離婚の相談に来られる方の中には,それまでの婚姻生活がうまくいかなかったため,精神的にもまいり,どうすればよいのか分からないという方が多くおられます。
   
■もちろんそのような方には十分な配慮はしますが,弁護士は,精神科医ではありませんから,メンタルなケアを行うことはできません。
ただ,少なくとも,法律的に何が問題となっていて,何をどのように解決していけば,前進できるかについて,ひとつづつ整理してご説明することを心がけています。
   

■一般論として言えば,離婚の際には,離婚できるかどうか,に加えて,未成年のお子さんがおられる場合にはその親権,ある程度の財産がある場合にはその分配の方法(財産分与),また不貞などいずれかの責任によって婚姻生活がうまくいかなくなったのであれば,慰謝料が認められるかどうか,などが問題となり得ます。
   

■そのひとつひとつについて,個々の相談者の場合,何が問題となる可能性があるのか,それを解決するためには,まず何をしなければならないのか,その見通しはどうか,などを整理してご説明するように心かげています。 例えば,まず,なぜ今のような事情になったかについて,可能な限りメモを作成していただき,私がそれを整理し,法的に評価することで,相談者の頭の中で,婚姻生活の何が問題で,それが客観的にどのように捉えられるのかが少しづつまとまっていくのです。
そのうえで,一緒に,ひとつ一つ片付けていくのです。
細かいことですが,「まず戸籍謄本を取ってきてください」「通帳を持ってきてください」などと段取りを決めて動いていただきます。
   
■離婚という人生の一大事に直面した時,あたかも超えることができないような高い山のように見えるかもしれません。
しかし,前述のように,目の前の一つ一つの石の中から確実なものをひとつひとつ選んで,そこをつかんで踏み上がっていけば,大抵は,確実に超えていけるものです。
遠くを見ることは難しくても,すぐ先の足元を見ることはそんなに難しくないはずです。
まずは遠くを見ることを止めて,足元を見てください。思ったよりもしっかりしていますよ。

2019年5月20日

◆離婚事件-「大丈夫ですよ」と言えるように(弁護士小林徹也)


■1994年に弁護士になって四半世紀が過ぎ,その間,離婚事件を含む多くの案件を経験してきました。
その一部については,このホームページで御報告させていただいている通りです。
   

■離婚事件について言えば,すでに100件近く扱ってきました。
もちろん,離婚事件に関する法的な知識は弁護士になった時からありましたが,書籍などの知識だけでは対応できないことも多く,まだ経験が浅かった頃には,適切でない対応をしてしまうこともありました。
いくら法律書に理屈は書いてあったとしても,個々のケースにおいて,それを実現するための労力や時間,また具体的な見通しまでは経験を積まないとどうしても分からないものです。
また,言い方は若干適切ではないかもしれませんが,調停委員を通じた,相手方や裁判所との「駆け引き」は,経験がないと難しいものです。
   

■そうやって,多くの経験を積んで,見通しも立てられるようになってきました。
もちろん,楽観視できる事案ばかりではありませんし,期待しておられるような結果が得られないこともよくあります。
その場合には厳しい見通しをきちんとお伝えすることも大事だと思っています。
ただ,一つ言えることは,終わらなかった事案はありません。
そのような経験から,今は,不安な心持ちでこられる相談者の方に,ある程度の自信を持って見通しをお伝えし,「大丈夫ですよ」と申し上げることができます。

2019年4月1日

◆モラハラやDVにより自主的な判断能力が弱まってしまう妻-特にお金の持ち出しについて(弁護士小林徹也)


■相変わらず,離婚のご相談をよく受けるのですが,夫からの「マインドコントロール」により自主的な判断能力が低下している方がおられます。
   

■例えば,婚姻後の妻の協力があって貯めたお金であるにもかかわらず(従って,法律上は名義にかかわらず共有財産です),別居しようとする時,「夫の了解を得ずに使ってもよいのでしょうか」などと迷われて当職に相談されることがあります。
もちろん,別居後の夫の生活にも配慮することは必要ですが,名義がいずれであっても半分は妻のものなのです。別居後の生活のために,ある程度のお金を持ち出すのは当然のことです。
   

■これに対し,夫側が「自分の名義の金を引き出して持って出たら横領や窃盗になる。そんなことをしたら警察に被害届を出す」などと主張し,妻がこれに怯え,動けないことがあります。
しかし,共有財産を合理的な範囲で使ったり持ち出したりしても,決して犯罪は成立しません。
私がご相談を受けた件でも,実際に夫側が警察に被害届を出したケースはいくつもありますが,現実に警察が動いたりしたことは一度もありません。
   

■もちろん全く無制約に使っていいというわけではありませんが,たとえば無職の妻が別居にあたってある程度の金を持ち出すのは当然のことです。
自分名義の金がないからといっていつまでも夫にしばられている必要はありません。
ただ,どの程度なら問題にならないかの判断に迷われるのは当然のことでしょうから,そのような場合には遠慮なく当事務所までご相談ください。

2019年2月13日

◆「不貞」の証拠にはどこまで必要でしょうか(弁護士小林徹也)


■不貞問題に関する相談が増加
近年,夫婦関係に関する相談や事件依頼が増えると共に,不貞問題に関する相談も増えてきています。
夫が不貞をしたためにその不貞相手に損害賠償請求を行った事案,あるいは,逆に,妻子ある男性と不貞関係になったが,その男性の妻から損害賠償請求を起こされた事案など,多くの事件を扱っています。
   

■よくある質問-どんな証拠が必要でしょうか。
このような相談の中でよく聞かれるのが,不貞が疑われるが,これを「証明」するためにどの程度の証拠が必要か,ということです。
相談者がよくお持ちになるのが興信所の報告書です。確かに,ホテルに出入りする場面などは,裁判になった場合には,極めて有力な証拠となります。
しかし,興信所に依頼するには高額の費用が必要となる場合が多いうえ,また,依頼の際のトラブルもよくあることから躊躇される方も多いと思います。
   

■裁判における「証拠」の意味
ただ,裁判における「証拠」とは,裁判官に「確からしい」と思わせる程度のものかどうかであり,法律で「これが必要です」と決まっているわけではありません。
従って,上のような「決定的な証拠」がなくとも,例えば,ある時期から頻繁に宿泊が増えた,履歴に不審な電話が頻繁にかかっている,避妊用具を持っていた,などについて,法廷における証言で具体的に指摘できれば,裁判所はかなり疑いを持つでしょう。
判決では「不貞があった」と認定されないとしても,破綻に関する有責性や慰謝料などの有力な根拠となり得ます。
また,不貞事件は和解で解決することが多いのですが,その場合には,上のような事情は和解を有利に進めるうえでの有力な事情となります。
   

■要は,相談者が,解決のうえでどこまで求めるかによっては,「決定的な証拠」がなくとも総合的な判断で柔軟な解決があり得るということです。
ただ,このような判断には経験に基づいた専門的な知識が必要となります。
配偶者等の不貞を疑っているが決定的な証拠がない場合にどこまで追及できるか,についてお悩みの方は遠慮なくご相談ください。
(なお,当HPの別項『不貞問題に関する相談が増えています』もご参照ください)

2019年2月6日

◆遠方にいる配偶者に対する離婚調停について-電話会議などの活用(弁護士小林徹也)


■離婚の話し合いがまとまらない場合には,まず家庭裁判所に調停という話し合いの申立をする必要があります。
(当HPの別項「弁護士をつけなくても離婚調停はできますか」も参照してください)
どこの家庭裁判所に申し立てる必要があるかですが,原則として,相手方の居住地を管轄する裁判所となります。
例えば,相手が大阪市に住んでいる場合には,大阪家庭裁判所となります。
   

■ただ,時折相手方となる配偶者は遠方に住んでいることがあります。
例えば,横浜で夫と婚姻生活を送っていた妻が,子を連れて大阪に帰ってきた場合,離婚調停を申し立てるためには,横浜家庭裁判所に申立を行う必要があります。
大阪から横浜家庭裁判所に行くには交通費がかかります。
しかも,弁護士を付けるとなると,弁護士の交通費や日当なども必要となり,経済的な負担が増します。
   

■このような場合,選択肢としては,大阪で居住しながら,横浜の弁護士に依頼するという方法もあり得ます。
ただ,離婚の相談は,直接に弁護士が対面してお話しをお聞きすることが重要です。するとどうしても横浜に何度も行くことになりかねません。
   

■そこで,最近,電話会議による調停がよく行われます。
基本的に,初回と,調停成立時である最終回は裁判所に出頭する必要がありますが,その間の期日については電話で行うのです。
こちらの依頼者には弁護士の事務所にお越しいただき,相手方が最寄りの家庭裁判所に出頭して,電話機のスピーカーとマイクを利用して(最近のものにはこの機能が付いているものが多いです),調停委員と電話でやりとりするのです。
初回さえきちんと出頭して調停委員の人となりを知っていることを前提とすれば,それほど違和感はありません。
   

■相手方が遠方に住んでいるために離婚調停などをためらっている方がおられましたら,上記のような方法もありますので,遠慮せずご相談ください。

2019年1月16日

◆離婚にまつわる問題-法的に面倒な「思い出の品」の返還(弁護士小林徹也)


■離婚するにあたっては,財産分与,慰謝料,お子さんがいる場合には親権や養育費など様々な問題が発生しますが,ここでは以外と見過ごされがちな小さな問題ですが,当事者の方にはいつまでも心残りになっていることを御紹介したいと思います。
   

■離婚の前に別居することが多いと思われますが,預貯金や証券,保険などその存在が銀行や証券会社などの第三者によっても証明できるものは,一方当事者がその存在を否定しても,場合によっては裁判所を通じて調査するなど,対応の方法があります。
   

■ところが,学生時代のアルバム,卒業証書,友人からのプレゼントなど本人にとってはとても大事な思い出の品であるものの,客観的な財産価値としてはほとんどないうえに,本人以外の第三者によってはその存在の証明が困難なものが多いこともおわかりいただけると思います。
そして,別居するような場合には,着の身着のまま,とにかく応急の生活のことしか頭にないことが通常で,このような思い出の品にまで考えが至らないのはある意味当然です。
   

■しかし,いったん別居して,調停などを進めるうちに一段落した時,「そういえばあのアルバムは返してもらえるのかしら」などと考えるようになり,その時になって相談を受けることがよくあります。そこで,相手方(多くは夫)に返還を求めるのですが,調停などの法的手続にまで至っているこじれた関係にある場合,夫はなかなか返還に応じません。
それでも,その存在を認めているのであればまだ請求の方法はありますが,困るのは,「そんなものはない」とか「すでに返した」などと言われた場合です。
相手方が保管していることを証明する責任は,返還を求める側にあるのですが,これはそう簡単なことではありません。
また,裁判所なども,大きな財産価値のあるものについては取り合ってくれますが,ちょっとしたアルバム程度だと,「それどころじゃあないでしょう」という感じで,あまり真剣に取り合ってくれないことが多いのです。
   

■離婚自体はうまく解決できても,このような思い出の品が結局最後まで返してもらえず,小さな心残りをもったままの依頼者の方を何人も見てきました。
そこで,私は,別居を検討されている相談者の方には,「大変な時にこんなことをご説明するのは何ですが,」と前置きして,「あとで返してもらうのが大変なので,ちょっとした思い出の品なども,大事なもので,かつ持ち出せるなら一緒に持ち出したほうがよいですよ」と助言するようにしています。

2018年12月5日

◆子連れの相談も遠慮なく(弁護士小林徹也)


■小さいお子さんがおられるお母さんから,「看てくれる人がいないので,子どもを連れていってもよいでしょうか」と遠慮がちに言われることがあります。  
結論的に言えば,全く問題ありません。
これまで何度も子連れの方のご相談を受けましたが,問題になったことはありません。
逆に,親権を争っている離婚事件や面会交流の事件などでは,私自身,子どもの様子を把握することが出来るので,調停の場などで説得的に主張することができる場合もありました。  
個人的にも,私は子どもが好きなので,苦になりません。
   

■あえて言えば,ある程度物心がついたお子さんが,弁護士の事務所で一緒に話を聞かなければならないという状況に心が痛むことはありますが…
いずれにしても,私自身は,全く構いませんので,遠慮なく連れてきてください。
(プレイルームを完備するほどの広さはありません。申し訳ありません…)
   

2018年10月24日

◆DV被害に遭われた方からのメールの紹介(弁護士小林徹也)


■夫から長い間DV被害に遭われ,その後,私の勧めもあり別居され,離婚調停を起こし離婚された依頼者の方から,先日,メールで挨拶が届きました。
ご本人の了解を得て,固有名詞等を削除したうえで,以下にご紹介致します(それ以外は原文のメールのままです)。
   

■長い間大変お世話になりました。ありがとうございます。
私はいま、エクセルとワードとパワーポイントの資格を取るためにパソコン教室に通っています。来年からは、新たに仕事を探したいと思います。
別れた夫も、再婚されたようです。
これで、安心して暮らせそうです。今思ってもあの生活は地獄のようでした。
昔の私と今の私は別人のように、顔が変わって本当に楽しいから笑えてる!写真を見ると別人のようです。
こんなに、毎日が穏やかに過ごせるとは思っていませんでした。
小林先生が早く解決して下さり、きちんとした対応をして下さったおかげだと思っております。
これからは、私自身が自立して、自分の足でしっかり立って、娘と共に笑って生きていきたいと思います。
本当にありがとうございました。
   

DV被害は、「自分が悪いから怒鳴られるんだ,暴力を振るわれるんだ」と長い間言われ続け、自分で考える力を失ってしまいます。
先々の不安も沢山あり、追いかけて来られるのではないかとの不安と戦い、自分らしさを取り戻すのにはすごく時間がかかりました。
DV被害者も加害者も幼少期の親子関係から被害に合っていて、その生活がおかしいと思いながら、我慢してしまいます。連鎖が続いていきます。
その連鎖を断ち切り、普通の穏やかな生活があるという事を沢山の方に知って頂けたらと思います。
私が自分の口で,友人や身内にDV被害を受けていたと言えるまで時間がかかりました。別居してからでした。
恥ずかしい事だと思っていましたが、私がその事を伝えると数人の友人から、旦那から暴力や暴言を吐かれて生活をしている事がわかりました。
この生活が間違っていると気がつくまでには時間と、回りの手助けが必要です。
私も戻ろうとしてしまいそうな心と戦っていました。恐ろしくても、不安に潰れそうになってしまいます。
ぜひぜひ、沢山の方に知って頂き私みたいに笑って生活が出来るようになればと思います。
   

■この方に限らず,最初に相談に来られたときは生気がなかった依頼者が,別居をして徐々に元気を取り戻され生き生きとされていくのを見ると,私も安心します。
なかなか第一歩を踏み出すことが出来ない方も多いと思いますが,とりあえずお気軽にご相談ください。

2018年10月17日

◆「モラハラ」夫の「特徴」について(弁護士小林徹也)


■別項で「モラハラ」夫について触れたところ,その後もいくつも,「モラハラ」夫との離婚事件を扱いました。
ここに,「モラハラ」(モラルハラスメント)とは,「言葉や態度で巧妙に人の心を傷つける精神的な暴力」というものだそうです。
不貞や借金を原因とした離婚は別として,離婚事件によく見られる夫は,このような「モラハラ」の常習者であることが多いようです。
そこで,「モラハラ夫」について少し特徴をまとめてみたいと思います(実際に扱った事例での特徴を抽象化したものです。また,すべての条件に当てはまる,という趣旨でもありません)。
   

■外面はよく仕事も結構真面目にする
「モラハラ夫」は,体裁を重んじ外面はよく,妻の友人などにも「よき夫」を演じていることも多いのです。
このため,妻はなかなか周囲に理解してもらえないことがよくあります。
また,仕事をよくする以上,経済面で家計費を中心的に担っていることが多いようです。
   

■妻や子は自分の「所有物」と思っている
基本的に妻や子を独立した一個の人格として見ていません。従って,「モノ」として大事に扱うことはありますが,自分の思い通りに動かないと大変機嫌が悪くなります。
「誰の稼ぎで食べているんだ」が口癖の方が多いようです。
   

■妻との関係で自分が絶対に正しいと思い込んでいる
とにかくモラハラ夫は,家庭内では自分が絶対に正しいと思っています。従って,妻や親族がどれほど説明しても絶対に自分の考えを曲げません。
   

■妻が納得するまで延々と話し続ける
そして,自分の考えが受け入れられないと,延々と(何時間も,場合によっては深夜まで)話し続け,妻が「自分が間違いでした」と認めるまで止めません。
このようなことが長年続くため,妻はそのうち,「マインドコントロール」されてしまい,夫の言っていることは常に正しく,自分が叱られるのが当然だと思いこむようになってしまいます。
家庭では,夫が主導権を握り,妻は夫の機嫌ばかりを伺うようになっていきます。
夫は,妻の行動にいちいち文句をつけたり,舌打ちをしたりします。また,機嫌の悪い時は無視を決め込みます。
これに対して,妻は,限界に至るまでそのような生活を続けることが多いようです。
   

■感情の起伏が激しい
とことん自分の主張を述べたかと思うと,翌日には別の人間のように優しくなったりします。
このため,妻は,「このような優しいところもあるのだから」とついつい自分を犠牲にして我慢してしまい,なかなか離婚に踏み出せないことが多いようです。
   

■両親や「家」を重んじる
モラハラ夫は,意外と自分の両親や「家」というものを大事にする傾向があります。
このため,離婚する条件として,今後妻や子が夫の姓を名乗らないことを主張してくる場合がよくあります。
   

■とても強い自己愛
自分のことには贅沢にお金を使うことが多いようです。
他方で,妻のみならず自分以外の人間に金を使うことを嫌う傾向があることから,モラハラ夫は意外と不貞に走りません(愛人にすら金を使いたくないようです)。
   

■このような傾向が分かったからといって直ちに救われるわけではありませんが,他方で,このような夫のもとで「私が間違っているのだろうか。私さえ我慢すればよいのだろうか」と悩んでいる方も多いようです。
直ちに救いの手となるかは分かりませんが,上記のような夫のもとで離婚を考えておられる場合には遠慮なくご相談ください。
別居後や離婚後には別人のように生き生きとされている依頼者をこれまで何度も見てきました。

2018年9月19日

◆収入の資料が少ない中,多額の婚姻費用が認められました(弁護士小林徹也)


■会社社長を相手とする婚姻費用の請求
自分で会社を作り,代表取締役を務めている夫を相手方として,妻の代理人として婚姻費用請求の申立を行いました。
相手方は,一応,会社から給料をもらっているという形をとっており,その資料として源泉徴収票を提出してきました。ただ,ゴルフ代や自家用車についても会社の経費として会社経理から支出しているようであり,源泉徴収票の金額だけが収入とするのは到底不合理なものでした。
   
 
■夫の生活状況について出来る限りの証拠を提出
ところが,通帳などもすべて相手方である夫が握っており,こちらは明確な資料が出せません。
そこで,夫の生活状況(持っているブランド物の衣服の写真,ゴルフに行っている写真など)を出来る限り提出し,「この収入でこんな生活ができるはずがない」と訴えました。
話し合い(調停)では結論が出ず,家庭裁判所に決めてもらうこと(審判)になったのですが,裁判所は,「夫の収入はもっと多い」という判断はしてくれなかったものの,夫も認めざるをえない様々な事実を根拠に,源泉徴収票から認められる金額よりもはるかに多い婚姻費用を認めてくれました。
   
  
■時には「血も涙もある」裁判所
一般の方は,裁判所は,数字を公式に当てはめるように,形式的に事実を法律に当てはめて結論を出していると思われるかもしれません。法律には,そのような計算式が定められていると思っている方も多いように思います。
ただ,私のこれまでの経験からすると,(もちろんいつも,というわけではありませんが)裁判所なりに,「この人を救わなくてはいけない」と考えると,少々理屈を曲げてでも,結論を出すことがあります。つまり,まず「この人を救う」という結論から理屈を考えるのです。
これは決して不当なことではありません。
法律はすべて,憲法13条の「個人の尊厳」を守るためにあります。つまり個人が尊重される結論でなければならないのです。
仮に,形式的な法律の適用がこの結論に沿わないなら,実質的にできるだけこの結論に合うような解釈を行うことはある意味当然なのです。
   

■そこで,私は,裁判所に対して,法的な理屈や,その根拠となる証拠だけでなく,「どうしてこの人を救わなくてはいけないのか。この人を救わないことが個人の尊重という原則に反している。」といったことも積極的に訴えるようにしています。
この件でも,(守秘義務の関係で詳細は言えませんが)理屈とは直接には関係ない相手方の不誠実な態度,それに対して妻である依頼者が出来る限り誠実に対応してきたこと,を訴えました。
そのような訴えに対する答えは,判決の表面には決して現れませんが,よく読むと,裁判官なりの「良心」が現れているような気がします。
   

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