2019年4月8日

◆「違法」なパワーハラスメントと「違法」でないパワーハラスメント(弁護士小林徹也)


■よく会社などでのパワーハラスメントのご相談を受けます。精神的に疲弊され来所される場合も多く,私としても可能な限りお力になりたいと思っています。
法律家である弁護士が関与する態様としては,窓口となって,当該パワーハラスメントを行っている上司などと交渉する,あるいは会社に対し改善を求めるなどです。
   

■ただ,「加害者」と交渉を行うとしても,法律の専門家である弁護士としては,最終的に訴訟となった場合にどのような判断が下されるか,という点を見据えなければなりません。
相手方も,話し合いを拒否した場合どのようになるか,弁護士に相談することが多いからです。
   

■この場合,当該パワーハラスメントが訴訟において「違法」と判断されるかどうか,が重要なメルクマールとなります。
ここで,「違法」というのは,もし裁判所によってそのように認定されれば,損害賠償義務が発生し,被害者に対し,(金額はともかく)お金を支払わなければならないということです。
そして,この支払いを拒否すれば,加害者はその財産を強制的に売却されたりするという大変大きな効力を持ちます。
例えば,違法と認定された判決に基づいて,加害者の会社に通知を出して,その給料を被害者に支払わせる,ということまで出来てしまいます。
   

■逆に言えば,ここまで大きな力を被害者に与える以上,裁判所としても,それほど簡単に「違法」とは評価しません。
例えば,「こんな仕事を続けているようでは会社にはいてもらえない」などと言われれば,言われた方は大変ショックを受けるでしょうし,人によっては精神的な疾患を発症する方もおられるかもしれません。
しかし,だからといってこの言動のみをもって,裁判所がパワーハラスメントと評価する可能性は低いのです。
実際に相談者がどのような仕事をしていたのか,他の社員に対してはどのような評価が下されていたのか,他にはどのような言動があったのか,など様々な事情が加わって,違法と評価される余地はありますが,単に仕事の評価が低かった,そのことを言葉で指摘された,というだけでは違法にはなりません。
   

■私がこれまで扱った事件でも,例えば,当該業務とは全く関係がないにもかかわらず,当該社員の以前の職歴を指摘し,「これだから教師上がりは困る」などと叱責したような事例がパワーハラスメントと認定されていますが,業務について少々厳しいことを言われてもそれがパワーハラスメントと評価されることは少ないと思われます。
   

■いずれもしても,当該言動がパワーハラスメントと評価されるかどうかの判断には専門的な知識が必要となります。判断に迷われている場合でもご相談ください。
 

2019年4月1日

◆モラハラやDVにより自主的な判断能力が弱まってしまう妻-特にお金の持ち出しについて(弁護士小林徹也)


■相変わらず,離婚のご相談をよく受けるのですが,夫からの「マインドコントロール」により自主的な判断能力が低下している方がおられます。
   

■例えば,婚姻後の妻の協力があって貯めたお金であるにもかかわらず(従って,法律上は名義にかかわらず共有財産です),別居しようとする時,「夫の了解を得ずに使ってもよいのでしょうか」などと迷われて当職に相談されることがあります。
もちろん,別居後の夫の生活にも配慮することは必要ですが,名義がいずれであっても半分は妻のものなのです。別居後の生活のために,ある程度のお金を持ち出すのは当然のことです。
   

■これに対し,夫側が「自分の名義の金を引き出して持って出たら横領や窃盗になる。そんなことをしたら警察に被害届を出す」などと主張し,妻がこれに怯え,動けないことがあります。
しかし,共有財産を合理的な範囲で使ったり持ち出したりしても,決して犯罪は成立しません。
私がご相談を受けた件でも,実際に夫側が警察に被害届を出したケースはいくつもありますが,現実に警察が動いたりしたことは一度もありません。
   

■もちろん全く無制約に使っていいというわけではありませんが,たとえば無職の妻が別居にあたってある程度の金を持ち出すのは当然のことです。
自分名義の金がないからといっていつまでも夫にしばられている必要はありません。
ただ,どの程度なら問題にならないかの判断に迷われるのは当然のことでしょうから,そのような場合には遠慮なく当事務所までご相談ください。

2019年3月6日

◆子どもの気持ちに寄り添って(弁護士佐久間ひろみ)


■子どものことに関心があります。弁護士になろうと思ったひとつのきっかけも,子どもが安心・安全に育つことに関わりたいということがあります。
なぜ私が子どもに関心があるのか,もう一度考えてみました。
それは,子どもは,まだ「未完成」で,大人の関わり方次第で,よい方向にも悪い方向にも進んでいくからだと思います
(法律の世界では,「可塑性(かそせい)に富む」という言い方をします)。
だから,少年は,大人と違う刑事手続が定められていますし,離婚などの様々な場面でも特別の配慮がなされます。
そして,弁護士は,この手続の中で,「可塑性」を大きく活かせる仕事だと思うのです。
   

■私たち弁護士が子どもに関わるのは少年事件や,あるいは学校でのいじめ問題でなどです。
これらの事件で難しいのは,先程の「可塑性」に関係して,単にその事件が法的に解決すればいい,というだけでは済まないことだと思います。
例えば,成人の刑事事件であれば,無罪にしたり,有罪でも刑を軽くすることが第一の目標となります。
そして,基本的には,判決が出てしまえば,それで「終わり」です。
他方で,少年事件の場合には,単にその場限りで処分を軽くすればよいというものではありません。
例えば,きちんと子どもと向き合って受け入れることができる家庭環境ではないにもかかわらず,少年院ではなく「自宅に戻ることが本当にその少年にとってベストなのか」を考えなければいけません。
   

■このように,少年に関わる事件では,何がその少年(その未来)にとって最良なのかを考えることが成人以上に重要になってきます。
私が事件を通じてその少年に関わることができる時間は,ほんのわずかかもしれませんが,その僅かな時間の中で,できる限り,一緒に未来のことを考えて,結論を出していきたいと思います。
少年や子どもに関わる事件についても遠慮なくご相談ください。
是非一緒に考えていきましょう。
 

2019年2月20日

◆学校でのいじめについて弁護士ができること(弁護士佐久間ひろみ)


■学校でのいじめによって、自殺する子どもがいたりするなど、とても悲しい事件が続いています。
いじめの辛いところは、一人で抱え込んでしまうことです。
子どもの立場からすれば、「いじめられるような子」と思われたくない、と親や友達に相談できずに一人で抱え込んでしまうこともありますね。
   

■いじめの解決策は色々あると思うのですが、まずは本人が誰かに「いやだ!」と伝えることが大切です。
いじめている側の子どもは、いじめているという意識がないこともあるのですから、まずは、「いやだ!」と伝えられるのが一つの解決策でしょう。
とはいっても、「いやだ!」と伝えることでいじめがエスカレートすることもあるかもしれません。
子どもによっては、「いやだ!」と伝えることが苦手なこともあります。また、「いやだ!」と伝えても解決しないこともたくさんあるでしょう。
   

■いじめっ子に「いやだ」と言えない場合、親や先生に相談することもできます。
しかし、最近多いのは、先生に相談しても、何も対応してくれないということです。
親に相談して、親から先生に伝えても、先生が対応してくれないこともあります。
そんな時、弁護士が役に立つかもしれません。
「いじめ」といっても、小さなことから、大きなことまで。ケガをするようないじめも少なくありません。
ケガをするようないじめを受けたとき、いじめられた側は何ができるでしょう。
・いじめた側に損害賠償を請求する
・学校に対し改善を求める、学校の対応の責任を追及する(損害賠償請求を含む)。
   

■このように,いじめを当事者で解決することは難しいこともあります。
スクールロイヤー(学校・法律家)の必要性も最近話題になっていますね。
いじめで悩んでいる親御さんも孤立せずに、一度当事務所に相談してみてください!

2019年2月13日

◆「不貞」の証拠にはどこまで必要でしょうか(弁護士小林徹也)


■不貞問題に関する相談が増加
近年,夫婦関係に関する相談や事件依頼が増えると共に,不貞問題に関する相談も増えてきています。
夫が不貞をしたためにその不貞相手に損害賠償請求を行った事案,あるいは,逆に,妻子ある男性と不貞関係になったが,その男性の妻から損害賠償請求を起こされた事案など,多くの事件を扱っています。
   

■よくある質問-どんな証拠が必要でしょうか。
このような相談の中でよく聞かれるのが,不貞が疑われるが,これを「証明」するためにどの程度の証拠が必要か,ということです。
相談者がよくお持ちになるのが興信所の報告書です。確かに,ホテルに出入りする場面などは,裁判になった場合には,極めて有力な証拠となります。
しかし,興信所に依頼するには高額の費用が必要となる場合が多いうえ,また,依頼の際のトラブルもよくあることから躊躇される方も多いと思います。
   

■裁判における「証拠」の意味
ただ,裁判における「証拠」とは,裁判官に「確からしい」と思わせる程度のものかどうかであり,法律で「これが必要です」と決まっているわけではありません。
従って,上のような「決定的な証拠」がなくとも,例えば,ある時期から頻繁に宿泊が増えた,履歴に不審な電話が頻繁にかかっている,避妊用具を持っていた,などについて,法廷における証言で具体的に指摘できれば,裁判所はかなり疑いを持つでしょう。
判決では「不貞があった」と認定されないとしても,破綻に関する有責性や慰謝料などの有力な根拠となり得ます。
また,不貞事件は和解で解決することが多いのですが,その場合には,上のような事情は和解を有利に進めるうえでの有力な事情となります。
   

■要は,相談者が,解決のうえでどこまで求めるかによっては,「決定的な証拠」がなくとも総合的な判断で柔軟な解決があり得るということです。
ただ,このような判断には経験に基づいた専門的な知識が必要となります。
配偶者等の不貞を疑っているが決定的な証拠がない場合にどこまで追及できるか,についてお悩みの方は遠慮なくご相談ください。
(なお,当HPの別項『不貞問題に関する相談が増えています』もご参照ください)

2019年2月6日

◆遠方にいる配偶者に対する離婚調停について-電話会議などの活用(弁護士小林徹也)


■離婚の話し合いがまとまらない場合には,まず家庭裁判所に調停という話し合いの申立をする必要があります。
(当HPの別項「弁護士をつけなくても離婚調停はできますか」も参照してください)
どこの家庭裁判所に申し立てる必要があるかですが,原則として,相手方の居住地を管轄する裁判所となります。
例えば,相手が大阪市に住んでいる場合には,大阪家庭裁判所となります。
   

■ただ,時折相手方となる配偶者は遠方に住んでいることがあります。
例えば,横浜で夫と婚姻生活を送っていた妻が,子を連れて大阪に帰ってきた場合,離婚調停を申し立てるためには,横浜家庭裁判所に申立を行う必要があります。
大阪から横浜家庭裁判所に行くには交通費がかかります。
しかも,弁護士を付けるとなると,弁護士の交通費や日当なども必要となり,経済的な負担が増します。
   

■このような場合,選択肢としては,大阪で居住しながら,横浜の弁護士に依頼するという方法もあり得ます。
ただ,離婚の相談は,直接に弁護士が対面してお話しをお聞きすることが重要です。するとどうしても横浜に何度も行くことになりかねません。
   

■そこで,最近,電話会議による調停がよく行われます。
基本的に,初回と,調停成立時である最終回は裁判所に出頭する必要がありますが,その間の期日については電話で行うのです。
こちらの依頼者には弁護士の事務所にお越しいただき,相手方が最寄りの家庭裁判所に出頭して,電話機のスピーカーとマイクを利用して(最近のものにはこの機能が付いているものが多いです),調停委員と電話でやりとりするのです。
初回さえきちんと出頭して調停委員の人となりを知っていることを前提とすれば,それほど違和感はありません。
   

■相手方が遠方に住んでいるために離婚調停などをためらっている方がおられましたら,上記のような方法もありますので,遠慮せずご相談ください。

2019年1月23日

◆台風などの自然災害による賠償責任のこと(弁護士小林徹也)


■近年,様々な自然災害が発生しています。
例えば2018年9月4日に関西を通過した台風21号の被害については,被害を受けた方,賠償を請求された方のいずれからも,いくつもご相談・ご依頼を受けました。
屋上に設置していた物置が落ちて隣家の屋根に穴を開けてしまった,同じく屋上の建物の屋根が飛ばされて近くのアパートの瓦などを剥がしてしまった,などです。
   

■法的には,土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を与えたか,が問題となります(民法717条1項)。
つまり,きちんと設置していなかった,その後もきちんと点検していなかったから飛ばされて被害を与えたのかどうか,ということです。
他方で,台風という自然災害であることからきちんと設置していても被害は避けられなかったということも考えられます。
   

■私は,まずは現場をよく見たうえで,設置状況や近隣の状況はどうなのか,被害の程度などを確認し,基本的には,100か0ではなく,お互いに譲歩して何割かを支払うという形で早期の解決を目指します。
前述の,屋根に穴が開いた件については,被害者の方から台風直後にご相談を受け,直ちに現場に行って確認することが出来ました。
このため,物置の設置の問題状況が早期に確認できたことから,具体的な現場の状況を分析したうえでの説得的な主張ができ,相当な金額で示談をまとめることができました。
   

■様々な異常気象が続くなか,今後も自然災害による被害が生じる可能性は多いと思います。
他方で,大きな被害ですと,生活状況を建て直すことで精一杯で,なかなか民事の賠償責任にまで,すぐには気が回らないのは当然です。
ただ,災害が生じたら,その状況をよく撮影しておく,という程度でも後日役立つことが多いのです。
このような知識を頭の片隅においていただき,落ち着いたら遠慮なくご相談ください。

2019年1月16日

◆離婚にまつわる問題-法的に面倒な「思い出の品」の返還(弁護士小林徹也)


■離婚するにあたっては,財産分与,慰謝料,お子さんがいる場合には親権や養育費など様々な問題が発生しますが,ここでは以外と見過ごされがちな小さな問題ですが,当事者の方にはいつまでも心残りになっていることを御紹介したいと思います。
   

■離婚の前に別居することが多いと思われますが,預貯金や証券,保険などその存在が銀行や証券会社などの第三者によっても証明できるものは,一方当事者がその存在を否定しても,場合によっては裁判所を通じて調査するなど,対応の方法があります。
   

■ところが,学生時代のアルバム,卒業証書,友人からのプレゼントなど本人にとってはとても大事な思い出の品であるものの,客観的な財産価値としてはほとんどないうえに,本人以外の第三者によってはその存在の証明が困難なものが多いこともおわかりいただけると思います。
そして,別居するような場合には,着の身着のまま,とにかく応急の生活のことしか頭にないことが通常で,このような思い出の品にまで考えが至らないのはある意味当然です。
   

■しかし,いったん別居して,調停などを進めるうちに一段落した時,「そういえばあのアルバムは返してもらえるのかしら」などと考えるようになり,その時になって相談を受けることがよくあります。そこで,相手方(多くは夫)に返還を求めるのですが,調停などの法的手続にまで至っているこじれた関係にある場合,夫はなかなか返還に応じません。
それでも,その存在を認めているのであればまだ請求の方法はありますが,困るのは,「そんなものはない」とか「すでに返した」などと言われた場合です。
相手方が保管していることを証明する責任は,返還を求める側にあるのですが,これはそう簡単なことではありません。
また,裁判所なども,大きな財産価値のあるものについては取り合ってくれますが,ちょっとしたアルバム程度だと,「それどころじゃあないでしょう」という感じで,あまり真剣に取り合ってくれないことが多いのです。
   

■離婚自体はうまく解決できても,このような思い出の品が結局最後まで返してもらえず,小さな心残りをもったままの依頼者の方を何人も見てきました。
そこで,私は,別居を検討されている相談者の方には,「大変な時にこんなことをご説明するのは何ですが,」と前置きして,「あとで返してもらうのが大変なので,ちょっとした思い出の品なども,大事なもので,かつ持ち出せるなら一緒に持ち出したほうがよいですよ」と助言するようにしています。

2018年12月27日

◆実際の破産手続はどのようなものでしょうか(弁護士小林徹也)


■破産手続というとどのようにするのか,皆さん,不安に思われると思います。
そこで,私の実際の対応について,簡単にご説明したいと思います。
   

■まず,一番最初に,債務の状況(金額や債権者の数),お持ちの資産,年齢,就労の有無,給料の額,など様々な事情を,およそ20~30分程度かけてお聞きします。そのうえで,破産にするのか,個人再生にするのか,などの判断を提案させていただきます。
ただ,客観的には,破産をしたほうがよいと思われる場合でも,例えば長年経営してきた店などを辞めるということは,お気持ちの問題もあるでしょうから,弁護士としては,客観的な見込みだけをできるだけ冷静にお伝えし,あとはご自分で判断していただくようにしています。
従って,最初の打ち合わせでは,処理の方針が決まらないことはよくあります。
   
  
■破産の方針が決まりましたら,お金を借りている先(債権者)に,「ご本人は破産をせざるをえなくなったので,私が代理人となってこれから準備します」という内容の通知(受任通知)を送付します。
この通知を出しますと,基本的に,債権者は本人に連絡してはいけないことになっていますので,ご本人はとりあえず一息ついて申立の準備に専念していただくことになります。
以下では,とりあえず,大きな財産もなく,従って,破産管財人がつかない(同時廃止)場合を例に挙げます。
   
  
■破産申立のためにしていただくのは,基本的には,住民票,通帳,賃貸借契約書,不動産登記簿などの資料を集めて持ってきていただくこと,及び,破産に至った経過を説明していただき,それを私がA4・1枚程度の文書にまとめる,家計収支表をつけていただく,といったことが中心となります。
早く準備していただければ,もちろん早く申し立てることができますが,皆さん,初めてのことでなかなかうまくまとめられず,少なくとも2~3回くらい事務所にお越しいただくことが多いです。
こうやって集めたり,私がまとめた文書を,一式のセットにして,裁判所に提出します。
裁判所は,内容をチェックして,不足書類があったり,問題があれば,代理人弁護士を通じて訂正や補充を求めてきます。何も問題がなければ,この書類を提出するだけで終わります。
ここまでで,2ヶ月から4ヶ月程度です。
これは,依頼者の方が,お願いした資料を早く集めていただけるかによるものです。
   
  
■内容に問題があったりすれば,1回程度,裁判所に呼ばれることもありますが,その場合でも,私が同行します。
ただ,破産管財人がついて管財事件などになると,何度か管財人の事務所に行っていただいたりして,半年以上かかることもあります。
   
  
■依頼者の方の人生にとって,破産という途を選択することは大変重大なことであると思います。ただでさえ,自己嫌悪や自暴自棄な気持ちになられがちだと思います。
私は,せめて手続においては,できるだけ精神的負担をおかけしないよう心がけています。お気軽にご相談ください。

2018年12月19日

◆他の相続人が被相続人の資産を勝手に使っていたので取り戻したい(弁護士小林徹也)


■他の相続人が被相続人のお金を生前勝手に使っていた
他の相続人が,生前に被相続人の預貯金などを勝手に使っており,それが相続後に判明したことから,それを取り戻せないか,という相談を時折受けます。
例えば,被相続人である母親が亡くなったので,通帳を確認したところ,質素な生活をしていた母親がおよそ使うことが考えられないような大金が,生前に出金されていた。その通帳を生前に管理していたのは近所に暮らしていた長男であった。他の相続人が長男に聞いても知らない,という。
そこで,私は,他の相続人から依頼を受けて,その長男に裁判を起こしたことがあります(依頼者のプライバシー保護のため若干事案を変えています)。
   
  
■この長男は,「自分は出金に立ち会ったことはあるが母親が勝手にしたことでその金を母親がどうしたかは知らない」と主張しました。
そこで,私は,裁判において,長男に通帳を見せることを要求しました。長男は,なかなか開示に応じようとしませんでしたが,裁判所の説得もあり,ようやく開示しました。すると,母親が亡くなる直前に,たくさんのお金を使っていることが判明しました。
また,母親の通帳を見ると,大変質素に暮らしていることもわかりました。
   
  
■こうやって,集めた様々な証拠を前提に,長男に尋問を行いました。
果たして,長男は,いろいろと矛盾した証言をしました。
例えば,長男は母親と仲良くしていたと証言する一方で,母親が大金を引き下ろしても何も聞かなかった,などと述べたのです。
しかし,それまで質素に暮らしていた母親が大金を下ろせば,詐欺に遭っているのではないかなどと,子どもなら当然心配するはずです。それを何も聞かないのは明らかに不自然です。
私は,法廷で,このような矛盾を多く引き出しました。
果たして,判決は,この長男に対して,他の相続人に引き下ろしたお金を相続分に応じて返すよう,求めるものでした。
   
  
■このような事件では,「これさえあれば勝てる」という証拠がなかなかないのが普通です。そこで,様々な事情や証拠を,できるだけ集めて,これを尋問で上手に使うことがポイントとなります。
相続人同士の関係は,かえって赤の他人よりも難しいことがあります。
もし困ったことがありましたら遠慮なくご相談ください。

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