■ 言うまでもなく,夫婦関係について弁護士のところに相談に来られる方は,「離婚したいけれどどうすればよいか」という内容がほとんどです。
しかし,もちろん中には「配偶者から離婚を求められているが自分は修復したい。どうすればよいか」という相談もあります。
■ 正直申し上げて,弁護士というのは,離婚する場合に生じる親権・財産分与・慰謝料等の種々の問題について解決する手段を提案することはできても,破綻した(あるいは破綻しかかっている)夫婦の関係を修復する「法的解決方法」を持ち合わせていません。
もちろん,形式的に調停を申し立てて,調停に同行させていただく,というレベルでのお手伝いはできますが,一度離れてしまった相手方の気持ちをこちらに取り戻す,というような「天使」のような役割は到底果たせません。
■ 他方で,弁護士は,多かれ少なかれ「説得」の技術を持ち合わせています。
「気持ち」を変えることはできなくとも,(嫌な言い方ですが)離婚に伴う社会的・経済的な不利益を主張することにより,相手方の「離婚したい」という「決意」を鈍らせることはできるかもしれません。
そして,仮に,一時的に「決意」が鈍り,時間をかせぐことができれば,「気持ち」の変化をもたらすチャンスは増えるように思います。
■ 私自身,よく「関係を修復したい」というご相談を受けることがあります。そのような場合には,「法的専門を離れたあくまで一個人の意見」として,過去の様々な事例から破綻した夫婦の問題点などを(もちろん守秘義務に反しない範囲で抽象化してですが),お話し,修復に向けた話し合いの「ポイント」を助言することはあります。
このような場合,ほとんどは相談だけに終わることが多いので,どこまで役に立っているが検証は困難ですが,何も聞かないよりましかもしれません。